【日時】平成31年3月18日(月) |
比叡山延曆寺の宿坊に一泊し、叡山の麓の歴史文化の街、大津市坂本界隈を散策したあと、午後から市内でレンタカーを借りて「近江八幡」へと向かいました。近江八幡市は滋賀県中央部の平野に位置し、市域の北東部に広がる西の湖は、ヨシ原特有の湿地生態系を示しています。近江八幡市の周辺は古くから琵琶湖の東西交通を支えた拠点の一つとして栄え、天正13年(西暦1585年)には豊臣秀次が八幡山城の麓に城下町を開き、西の湖を経て琵琶湖に至る八幡堀を開削しています。楽市楽座などの自由な商工業政策が行われ、八幡堀沿いの街は廃城以後も在郷町として発達してきました。八幡堀沿いの街は舟運で結びついて旧城下町と一体的に展開し、現在の市街地の骨格となっています。江戸日本橋で近江商人が取引した商品には「近江表(おうみおもて)」「近江上布(おうみじょうふ)」など湿生植物を原料とするものが数多く含まれていました。西の湖やその周辺に展開するヨシ原などの自然環境が、ヨシ産業などの生業や内湖と共生する地域住民の生活と深く結びついて発展した文化的景観といえます。この近江八幡市は、豊臣秀次が築いた城下町を基礎として、近世は商業都市として発展した近江商人の発祥の地です。近江兄弟社(当初はヴォーリズ合名会社)のメンソレータム(メンターム)は現在も続く老舗であり八幡掘の中心地である大杉町の西側の魚屋町には記念館が残っています。近世の風情がよく残る新町通り、永原町通り、八幡堀沿いの町並みおよび日牟禮八幡宮境内地は、近江八幡市「伝統的建造物群保存地区」の名称で国の重要伝統的建造物群保存地区として選定されています。またこの八幡掘は時代劇の撮影場所としてもよく使われています。そして、近江八幡と言えば、米国の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが住み、多くの近代建築作品を遺した地としても知られています。八幡掘界隈にいまなお残るヴォーリズ建築の数カ所を散策しました。ヴォーリズは米国カンザス州・レブンワース生まれ、英語教師として来日しキリスト教伝道のための伝道施設の建設を契機に関西を中心に建築設計の活動を開始。1908年(明治41年)京都で建築設計監督事務所を設立し、日本各地の多くの西洋建築の設計を手がけました。学校、教会、YMCA、病院、百貨店、住宅など、その用途も建築様式も多彩といえます。ヴォーリズの学校建築は、以前わたしが京都市の同志社大学視察のいくつかの煉瓦建築をレポートしていますのでリンクを張っておきます。その同志社大学内に残るヴォーリズの煉瓦建築には「アーモスト記念館」「啓明館」「新島遺品庫」「致遠館」があります。この元英語教師でプロテスタント伝道師でもあった米国人ヴォーリズは、大東亜戦争のさなかの1941年(昭和16年)に日本に帰化し、華族の一柳末徳子爵の令嬢満喜子夫人の姓をとって一柳米来留(ひとつやなぎ
めれる)と名乗り「メレル・米来留」とは米国より来りて留まるという洒落た命名をしています。近江商人発祥地である滋賀県旧八幡(現在の近江八幡市)を拠点に精力的に活動し当時は「青い目の近江商人」と称されていました。また大東亜戦争終戦直後、GHQ連合国軍総司令官ダグラス・マッカーサーと近衛文麿との仲介に尽力し「天皇を守った米国人」とも称されてることからも政治的な活動家でもあったと言えます。近江八幡のもう一つの特徴といえば、先に書いたようにやはり観光地としての「八幡掘」が圧倒的に有名です。2005年9月1日には、近江八幡に広がる水郷地域160ヘクタールが景観法に基づく「景観計画区域」に指定されていますが、これは同法の適用第1号です。さらに2006年1月26日には「近江八幡の水郷」として重要文化的景観の第1号に選定されました。その近江八幡ですが、近江八幡と言えば、間違いなく「八幡堀」を中心とした「近江商人の街並み」そして旧街並みに点在する「ヴォーリスの近代建築」といえます。今回の視察レポートはこれらを中心とした街並み散策となりました。
取材:JMRA日本民家再生協会正会員 ㈱アップル 大竹 喜世彦
【延暦寺・日吉大社・三井寺から近江八幡へ】
【新町の旧伴家・西川住宅】
【新町(京街道)近江商人の町並み】
【八幡掘り(新町浜)界隈】
【八幡掘り(大杉町)白雲橋の西側】
【八幡掘り(大杉町)白雲橋】
【八幡掘り(大杉町)白雲橋の東側】
【八幡掘り(大杉町)白雲橋の東側(瓦美術館)】
【八幡掘り(宮内町)白雲橋の北側・日牟禮八幡宮・八幡山】
【八幡掘り(宮内町)たねや】
【八幡掘り(宮内町)たねや&倶楽部ハリエ】
【八幡掘り(大杉町)白雲館(旧西川邸)】
【八幡掘り(大杉町)千成亭】
【魚屋町・近江兄弟社・メンターム資料館&ヴォーリズ像】
【魚屋町・大杉町~玉屋町へ
【玉屋町~慈恩寺町・ヴォーリズ記念館】
【池田町・ウォーターハウス記念館(ヴォーリズ建築)】
取材:HICPM住宅生産性研究会正会員 ㈱アップル 大竹 喜世彦
―弊社の古民家再生事例―
【築80年の古民家改修:飯能市下名栗】
【Before】
【Ater】屋根・外壁・窓の断熱改修
【Ater】キッチンの自然素材&断熱改修
取材:JMRA日本民家再生協会正会員 ㈱アップル 大竹 清彦
【エコロジーの先端、捨てない文化を取り戻す・ビンテージリフォーム】
建築基準法で規定されている現在の【在来工法】は柱や桁梁の接合部に金具補強して、面材や筋交いなどの耐力壁で地震等に抵抗します。これに対し古民家などの【伝統的工法】では、柱や桁梁の接合部は木組みのみで金具の補強はありません。代わりに【伝統的工法】では土塗り壁、竹小舞、差し鴨居、貫などが主要な耐力要素となります。【伝統工法】では土台を使わず1階の柱を直接礎石に立てる【石場建て仕様】が用いられることがあります。特に西日本以西では夏場の床下通気やシロアリ対策から【石場建て仕様】が採用された民家が少なくありません。 【限界耐力計算】という方法で確認申請の適合判定が通れば、こうした【伝統木造軸組み住宅】も新築できる。しかし、この申請・審査には大変な手間がかかり、その結果、現在新築の実績は年間数棟にすぎないのが実情です。 わたしたちは、この【伝統的工法】で使わてきた柱や梁といった構造材の再構築としてリユースする道筋をつけ、消えゆく貴重な資源をリモデリングというで使い継いでまいります。 古いという理由だけで何もせずただ壊して捨てたらゴミになるだけ。しかし、リモデリングで再使用したらあと何年再活用できるでしょうか。 ビンテージ・リフォームは【伝統的工法で使われてきた古材】を大切に、そのままの形で出来るだけ長く使い、捨てない文化を取り戻す究極のエコロジカルなコンセプト・リフォームです。
【古材を活用した弊社アップルのリモデリング例】
―栃木・旧藤岡町/F邸・230年前の土蔵解体(2011年) ⇒下野市/H邸・古材梁を再活用したマンション・リモデルへ(2012年)―
―マンションのキッチン・リモデリング― 16年のマンションの全面改修の一部 薄暗く、開放感のない元の対面型キッチンをリ・モデリング キッチン台は造作中心のオリジナル 床暖房+LDKは明るく開放的なキッチンに家族が集うようになりました |
【Before】 【施工中】 キッチン台を組み、古材も取付け、LD側のカウンターもインストールして周辺を造作 仕上げ:弊社インテリアコーディネーターが詳細を現場で指示 古材に合わせて周りの造作家具なども自然塗料リボス+京都山中油店の鉱物顔料で着色 左官:カウンター天板、袖壁 天板の左官:クリスタルインレイ使用、蜜蝋で撥水加工 袖壁の左官:スイス漆喰、カルクウォール、エイジング加工 【After】 |
―福島・田島町/I邸・古民家解体(2004年)⇒下野市/T邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2009年)―
【古材を活用したリモデリング例】
―栃木・藤岡町/A邸・古民家解体(2007年) ⇒小山市/S邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2008年)―
静かな農村地帯に昔懐かしい風情を残す「青木邸」は江戸時代には、この土地で栄えていた大規模な農家。現在、旧道沿いに立つこの家の母屋は約100年前のもの。昔は街道の両脇に茅葺屋根の家々が立ち並ぶ日本の原風景を残す土地でもあった。最近はテレビの番組でも多く登場するようになった古民家とはいえ、子供の頃には「暗くて寒くて怖い」場所と思い育ったそうです。お母さんとの2世帯住宅を建てる決意をされたものの、祖先が使い残してくれたこの母屋をただ解体することに寂しさを感じていらした青木さんご夫婦。「まだ、使えるものなら是非、再生に活用て使い続けて下さい」と。まさに「200年住宅」の真髄ではないでしょうか?昔から、捨てずに大切に使い続けてきた構造材。本来、日本では当たり前に行われてきた建築文化です。もちろん、何もせず、200年耐用できるものなど何処にもありません。定期的に修理修繕し、次代を越え愛着を持ちながらメンテナンスし熟成されてきたのです。大切に使い住み続ける社会の実現。これこそがわたしたちの目指す「200年住宅」の意味するところではないでしょうか?青木さん、わたしたちアップルで古材として立派にリモデリングで大切に活用させていただきます。
Before(青木邸)
当時の貫工法(在来工法の原型)や竹小舞の土壁。地場の欅と松の曲がり梁が素晴らしい。
After(再生リモデル完成しました)
増改築前(外観) (和室) (廊下) 改装中:古材をクレーンで搬入
改装中:青木さんの地松の古材梁を2本活用、ドイツ・リボス自然素材塗料で綺麗に蘇る。
改築後(廊下)杉の古材柱を廊下でも活用、手洗いをしつらえ、トイレも増設。内装はスイス本漆喰左官&ドイツ・ウッドチップクロス張り
改築後(寝室)
改築後(和室:1) 内装:ドイツ・ウッドチップクロス (和室:2)内装:愛知・桃山土壁(弁柄壁)
【その他、古材を活用したリモデリング例】 Before⇒After
よくある普通の和室 「古材の柱」で作った「自在ガキ」をぶら下げ、囲炉裏風の設えに。
「古材梁」を4本使っています。
古民家を見て、その素晴らしさに感動する人は多い。その佇まいはわたしたちの五感に訴えるものは非常に多いが、本当の素晴らしさと意味するところは、自然のシステムが無駄なく利用されている先人たちの知恵に気づく点です。民家に蓄積された仕掛け、例えば風を防ぐ工夫、逆に風を導く工夫、高湿から室内を守る工夫、暗さを補う天窓の工夫といった仕掛けは、わたしたちのスローライフな暮らし方を見直すことを教えてくれます。これは過去への回帰を意味するのでなく、未来の住宅のために、伝統技術を見直し、継承し、新しい知恵を加えるということにつながって行きます。 民家の様々な歴史、文化的な背景を知ることは、ものの真の価値を知ることも出来ます。 裏付けのある知識を持つことで「先人たちの知恵」のルーツを知ることが出来ます。 例えば、家族団らんの食事は囲炉裏を囲んで・・・と思われていますが実は、『囲炉裏』は養蚕のための暖房であり、生活に余裕はなく、封建的なスタイルで食事は各自お膳で取っていた・・・。 しかし、現在はそのような封建的な風習はありませんから、『囲炉裏』は家族で仲良くみんで囲めばいい。 このように、民家を知ることは、わたしたちの先人たちの、地域にあった住まい方を正しく知り、その知恵を活用し、さらに長い年月をかけ熟成させていくものではないでしょうか。
江戸時代から、木材を再利用するのは当り前の時代でした。これがいつしか捨てる文化に変わってしまった。究極のエコロジーは、そのままの形で出来るだけ長く使うこと。ビンテージリフォームは、そんな私達の考えが詰まったコンセプト・リフォームです!リフォームアップルで強力に推進中!
古材を多用するビンテージリフォームは、高い志と古来の伝統工法の豊富な見識を習得した古材施工技術士に是非一度ご相談下さい。
日本民家再生リサイクル協会正会員 ㈱アップル・リフォームアップル自治医大店 大竹喜世彦
【茅葺屋根の古民家】
八郷町には60余棟の『茅葺の里』があります。毎年年末に、八郷町の地元の【茅葺屋根保存会】の方々と、とわたしたち【民家再生リサイクル協会】茅刈り隊】、筑波大学生らのボランティアを含むメンバー(200名近く)は【つくば学園都市】にある高分子研究センターでヨシ刈りを行なっています。八郷の茅葺屋根の葺替えに使うための【ヨシ刈り】です。
そして、毎年この4月初旬に、民家再生リサイクル協会では、八郷町、地元【茅葺屋根保存会】の方々と、茅葺古民家で交流会を行い、早春の一日を美しい里山と日本の原風景が残る茅葺集落で過ごしております。戦後のヨーロッパでも、日本と同じように茅葺屋根は激減しましたが、現在は高級住宅地などのステータスシンボルとして使われ人気が高いそうです。・・・
さて、日本の茅葺について。かつての日本の茅葺文化は農村生活と深く結びつき社会活動とのかかわりが欠かせませんでした。筑波一帯は、江戸城の鬼門を守る門前町として栄え、特に筑波山麓では江戸末期からは専門職として【茅葺職人】が成り立ち、地方ごとに特異な形の技術が発達しながら、地域社会と強い関わりを持ってきました。村人は【ユイ・結】を組織し、茅葺を手伝い、古くなった屋根の改修で出た【古茅】は大切にリサイクルしまた、重要な肥料として農地にも還元され、その【マテリアル】自体も自己完結型で地域循環していました。
【古民家再生の環境的側面】
日本の産業廃棄物のうち約20%を建設廃棄物が占め、民生部門のエネルギーのうち約45%を住宅が占めると言われる。社会全体の環境負荷の低減を図るには、この住宅建築をいかに環境配慮型に変えていくかが重要な課題です。住宅建材のリサイクル率向上や生活エネルギー使用量減少はどうすれば可能なのか?わたしたちは伝統的な素材、工法に、関わる最先端の知識に触れ、エコロジカルな視点からも民家再生に注力しています。
毎年建っている戸建住宅は約数十万戸で、最新の技術、性能を持ちます。しかし、立て替えればで、産業廃棄物と大量のゴミを発生させます。そして、もうすでに建ってしまっている既存住宅1500万戸はどうすればいいのでしょうか?わたしたちはリモデル、リフォーム(欧米ではリフォームというと歯の矯正の意味も含まれ、一般的にはリモデリング、ホームインプルーブメントと言われています。)を通じて、ゴミ問題も含むエネルギーなどの環境負荷低減をはかってまいります。とりわけ大きな機械装置(製造エネルギーが多大で廃棄時にリサイクルできないものを主に言います)の導入でアクティブな「省エネ」を図る方法よりも、より自然エネルギーをそのままの形で活用するパッシブな「省エネ」デザイン、設計を心がけていこうと考えます。
『ふるさと』というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと『八郷』は、私達に教えようとしています。『町守り』は『町興し』に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
『町守り』とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
NPO日本民家再生リサイクル協会正会員(株)アップル 大竹喜世彦
===大切なものを壊さず、使い継ぎ再生させる。福島県会津から古材を入荷しました。=== |
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