【日時】平成20年7月5日(土)JMRA主催 |
鎌倉に移築再生された2つのJMRA会員の住宅を見学させていただきました。 一つは秋田県湯沢市からの総漆塗りの道具蔵を住宅と仕事場に再生したもの。 もう一つは東京都北区に奇跡的に残っていた『田の字型』民家を移築再生したもの。 |
取材: 潟Aップル・リフォームアップル自治医大店 高村文枝
建て主とその家族がその『想い』や『こだわり』を移築の過程でどのように具体化し建物に反映させたかを学びました
【神奈川県・鎌倉市鎌倉山の家】
この家の家主さんは20台半ばの頃、長野県の民家再生を見学する機会があったそうです。そこで感じた何ともいえない懐かしさと居心地のよさにその場を離れがたい気持ちが忘れられなかったそうです。それ以来いつか自分で家を建てるなら古民家のような家がいい!と思い続けたそうです。古い建物を移築するのに必要な条件って?第一条件は心底古民家が好きなこと。どんなに時間がかかっても夢の実現をあきらめないこと・・・だそうです。幸い、JMRA主催の『民家の学校』を通じ情熱を持った大勢の仲間たちに出会うことが出来たのと、応援をもらえたことが貴重だったそうです。 そして、2年前にJMRAの大沢教授にお会いしすべてがスタートした。妥協せず土地にあう古い建築に合う環境を求めたら鎌倉山のこの土地に会えたそうです。その土地に合う蔵探しを求め、秋田県雄物川市でこの総漆塗りの家財蔵と出会ったそうです。
鎌倉山の交差点から少し入る瀟洒なところに移築された。
住居兼奥さんの仕事場(設計事務所)は周りの景観に溶け込むような佇まいをみせている。
重厚な建具も現地で使われていたものを再利用。玄関内部の土間には、大谷石が使われていました。
JMRA大沢教授のレクチャー。元々の漆塗りの柱や構造材、建具と真っ白な漆喰壁(今回は土佐漆喰タナクリームを使用)
設計に際し、構造材の柱のピッチが60センチ間隔と狭いため、開口部には悩んだそうです。吹き抜けは通風がよく夏はエアコンはほとんどいらず、
冬の暖房は薪ストーブ1台で全館暖房が可能だうです。燃料の薪は隣の林の枯木と、職人からもらう廃材でまかなっているそうです。(中央が施主の西本佳代子さん)
吹き抜けのリビングから2階へ上がる。柱の間隔が60センチと狭いけれど、縦長の滑り出し窓が入り開放的な空間です。
この欅の大梁は物凄い重厚感。1本で12mも通っている棟木も素晴らしい杉丸太。
この階段は引き戸で閉められる。低い手摺も昔のまま。丸窓の照明はカヤ葺の材料ヨシを漉き込んだ和紙が張ってありました。
浴室とトイレ、洗面所の間仕切壁の厚さ凄いでしょ〜。ガラスの受けがこんなに奥行きがある!さすが元蔵。浴室のタイルは十和田石。
【神奈川県・鎌倉市腰越の家】
移築前の建物は北区上十条に江戸時代から10代続く醍醐家の母屋です。代々庄屋を務め、煙草栽培を手がけた農家でもありました。元々は茅葺屋根だったそうですが、大正8年に瓦葺に葺き替えられたそうです。 この家の特徴は『田の字型』の家で、『長者柱』と太い欅の『大黒柱』の典型的な農家の間取りです。醍醐家住宅はマンション建設予定地に建ち取り壊しが計画されていましたが、2005年、JMRAの民家バンクに登録されました。 同年11月に開催された見学会に会員の奥村さんが引き取りを希望され、翌2006年4月に引渡しが決まりました。 奥村さんはこの屋敷の改築前の明治期の規模に戻しながら、4人家族の生活に合うように計画されました。
この井戸は、たっぷりと水が出る今も現役です。外壁の土壁はセルフビルドで現在も仕上げ中でした。
大沢教授(中央)とJMRAの会員。右は施主の奥村さん。
外壁の一部と内壁(天井)はまだ仕上がっていない。施主が休日に少しづつ作業を行うセルフビルド。日本人もこのような時間的な余裕がほしいものです。
取材:日本民家再生リサイクル協会正会員 潟Aップル・リフォームアップル自治医大店 高村文枝
【古民家再生の環境的側面】
日本の産業廃棄物のうち約20%を建設廃棄物が占め、民生部門のエネルギーのうち約45%を住宅が占めると言われる。社会全体の環境負荷の低減を図るには、この住宅建築をいかに環境配慮型に変えていくかが重要な課題です。住宅建材のリサイクル率向上や生活エネルギー使用量減少はどうすれば可能なのか?わたしたちは伝統的な素材、工法に、関わる最先端の知識に触れ、エコロジカルな視点からも民家再生に注力しています。
毎年建っている戸建住宅は約数十万戸で、最新の技術、性能を持ちます。しかし、立て替えればで、産業廃棄物と大量のゴミを発生させます。そして、もうすでに建ってしまっている既存住宅1500万戸はどうすればいいのでしょうか?わたしたちはリモデル、リフォーム(欧米ではリフォームというと歯の矯正の意味も含まれ、一般的にはリモデリング、ホームインプルーブメントと言われています。)を通じて、ゴミ問題も含むエネルギーなどの環境負荷低減をはかってまいります。とりわけ大きな機械装置(製造エネルギーが多大で廃棄時にリサイクルできないものを主に言います)の導入でアクティブな「省エネ」を図る方法よりも、より自然エネルギーをそのままの形で活用するパッシブな「省エネ」デザイン、設計を心がけていこうと考えます。
『ふるさと』というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと『八郷』は、私達に教えようとしています。『町守り』は『町興し』に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
『町守り』とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
NPO日本民家再生リサイクル協会正会員(株)アップル 大竹清彦
―栃木・藤岡町/青木邸・古民家解体(2007.11月) ⇒小山市/塩田邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2008.7月)―
静かな農村地帯に昔懐かしい風情を残す「青木邸」は江戸時代には、この土地で栄えていた大規模な農家。現在、旧道沿いに立つこの家の母屋は約100年前のもの。昔は街道の両脇に茅葺屋根の家々が立ち並ぶ日本の原風景を残す土地でもあった。最近はテレビの番組でも多く登場するようになった古民家とはいえ、子供の頃には「暗くて寒くて怖い」場所と思い育ったそうです。お母さんとの2世帯住宅を建てる決意をされたものの、祖先が使い残してくれたこの母屋をただ解体することに寂しさを感じていらした青木さんご夫婦。「まだ、使えるものなら是非、再生に活用て使い続けて下さい」と。まさに「200年住宅」の真髄ではないでしょうか?昔から、捨てずに大切に使い続けてきた構造材。本来、日本では当たり前に行われてきた建築文化です。もちろん、何もせず、200年耐用できるものなど何処にもありません。定期的に修理修繕し、次代を越え愛着を持ちながらメンテナンスし熟成されてきたのです。大切に使い住み続ける社会の実現。これこそがわたしたちの目指す「200年住宅」の意味するところではないでしょうか?青木さん、わたしたちアップルで古材として立派にリモデリングで大切に活用させていただきます。
Before(青木邸)
当時の貫工法(在来工法の原型)や竹小舞の土壁。地場の欅と松の曲がり梁が素晴らしい。
After(再生リモデル完成しました・塩田邸)
増改築前(外観) (和室) (廊下) 改装中:古材をクレーンで搬入
改装中:青木さんの地松の古材梁を2本活用、ドイツ・リボス自然素材塗料で綺麗に蘇る。
改築後(廊下)杉の古材柱を廊下でも活用、手洗いをしつらえ、トイレも増設。内装はスイス本漆喰左官&ドイツ・ウッドチップクロス張り
改築後(寝室)
改築後(和室:1) 内装:ドイツ・ウッドチップクロス (和室:2)内装:愛知・桃山土壁(弁柄壁)
その他の古材活用リモデリング例 Before⇒After
よくある普通の和室 「古材の柱」で作った「自在ガキ」をぶら下げ、囲炉裏風の設えに。
「古材梁」を4本使っています。
古民家を見て、その素晴らしさに感動する人は多い。その佇まいはわたしたちの五感に訴えるものは非常に多いが、本当の素晴らしさと意味するところは、自然のシステムが無駄なく利用されている先人たちの知恵に気づく点です。民家に蓄積された仕掛け、例えば風を防ぐ工夫、逆に風を導く工夫、高湿から室内を守る工夫、暗さを補う天窓の工夫といった仕掛けは、わたしたちのスローライフな暮らし方を見直すことを教えてくれます。これは過去への回帰を意味するのでなく、未来の住宅のために、伝統技術を見直し、継承し、新しい知恵を加えるということにつながって行きます。 民家の様々な歴史、文化的な背景を知ることは、ものの真の価値を知ることも出来ます。 裏付けのある知識を持つことで「先人たちの知恵」のルーツを知ることが出来ます。 例えば、家族団らんの食事は囲炉裏を囲んで・・・と思われていますが実は、『囲炉裏』は養蚕のための暖房であり、生活に余裕はなく、封建的なスタイルで食事は各自お膳で取っていた・・・。 しかし、現在はそのような封建的な風習はありませんから、『囲炉裏』は家族で仲良くみんで囲めばいい。 このように、民家を知ることは、わたしたちの先人たちの、地域にあった住まい方を正しく知り、その知恵を活用し、さらに長い年月をかけ熟成させていくものではないでしょうか。
「エコの先端をいく文化を取り戻す」ビンテージリフォーム
江戸時代から、木材を再利用するのは当り前の時代でした。これがいつしか捨てる文化に変わってしまった。究極のエコロジーは、そのままの形で出来るだけ長く使うこと。ビンテージリフォームは、そんな私達の考えが詰まったコンセプト・リフォームです!リフォームアップルで強力に推進中!
古材を多用するビンテージリフォームは、高い志と古来の伝統工法の豊富な見識を習得した古材施工技術士に是非一度ご相談下さい。
===大切なものを壊さない。使い継ぎ再生させる。===福島県会津から古材を入荷しました。=== |
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