【日時】平成21年1月14日(水) |
@新築:地域材を生かし、地域の気候風土と【自然エネルギー】をそのまま生かしたパッシブハウス A増改築:【住まう人】【造る人】もずっと同じ。親の代から引き継がれた築32年の家 |
栃木県の県北、塩谷町はかつて鉱石の町として栄えた場所。東京から130キロという地域にあり、町の総面積の3割近い山林を生かした林業、鬼怒川の清流からなる豊かな農業、塩谷工業団地という農工両面のまちづくりがすすめられてきました。今回、訪問させていただいた【木の城工房】上野社長とは、昨年10月の9日間のドイツ・オーストリアエコ建築ツアーでご一緒させていただいた縁から実現したものです。それ以前から、自然素材を多用したエコ建築、室内空気質を評価したシックハウス対応住宅、省エネ・エコを目指したパッシブハウスにおける栃木県の第一人者である上野修一社長は、様々な活動講習会で講師を務めるエコの伝道者でもあります。講習会ではたびたびお顔を合わせる機会も多く、【木の城工房】さん訪問を願っておりましたところ、今回はその新築物件と、築30余年経過した民家の増改築を見学させていただくことができました。
住所:〒329−2221 栃木県塩谷郡塩屋町玉生662 0287−45−0227 木の城工房株式会社
一級河川鬼怒川と荒川の清流に囲まれた農林工業の町、塩屋町。鬼怒川の河川では、あまりの雄大な景色と雪山に目を奪われいつまでも眺めていたくなる。
高原山中腹の【尚仁沢の湧き水】は全国名水100選の人気があり訪れる人は絶えない。これら自然に恵まれた町が塩谷町である。
【木の城工房】塩谷町・玉生
【木の城工房】の上野社長ご夫妻と小野田さん(左) 元々、ご自宅のガレージで構造むき出しであった場所を店舗に改装。内外張り断熱と南面開放の開口部
から日射が差込み冬の間、自然に暖かなパッシブハウスに改修されている。見えにくいが店舗の右側のネットは夏の日射を遮蔽するための【ゴーヤ】のネット。
内装は自然素材の無垢材 を多用し、ドイツ・ウッドチップクロスに漆喰クリームで仕上げです。
これは建物南面に取り付ける断熱材。角度の着いた小さな穴から日射を取り込み裏の断熱材に蓄熱させる鋼板+石油系断熱材である。鋼板側となる
表側の仕上げは透明ガラスを装着させ日射を透過させるもの。夏の日射遮蔽は外付けのブラインドで機能させる。
@新築: 地域材を生かし、地域の気候風土と【自然エネルギー】をそのまま生かしたパッシブハウス
南面開放型のパッシブハウス、北側は閉じ、断熱を徹底させる設えです。サッシはすべて2重構造で、それぞれにLow-Eガラスを組み込んでいる。
表側のサッシはアルミ+樹脂製の高断熱サッシ、内窓は和室はヒノキの無垢、洋室は樹脂製としてある。 2階のセミナールーム、自然対流を活用した全館暖房や
屋根下や床下の夏冬の蓄熱と排熱の仕組み、窓開口部の冬の断熱、夏の遮熱方法などこのセミナールームで学ぶことができる。
玄関を開けると夏の間は天井吹き抜けから2階へ排熱する。冬は画像のようにワーロン障子で閉じ屋根下と2階の暖かい空気を下に循環させている。窓から
見える山々。もうひとつのポイントは、地場の材料を使う点。構造材から造作材、板材までそのほとんどが地元で取れた地場材という点。遠くから輸送する必要
がない点は地域循環の点からも 是非、ビルダーの方々には見習うべき点が多い。また、このような新建材と遠くから運ばない自然エコロジー建材を駆使しつ
つも、もうひとつ大きな特徴を述べておきましょう。
【木の城工房】のもう一つの取り組みは【日本型パッシブハウス】であります。この先進的な省エネ住宅には、大きな機械装置を使うOMソーラーハウスまたとは
違い、よりもっと 日本的な造りとなっているところが特徴です。日本的なパッシブ?って・・・冬の日射の温熱利用、夏の涼風の取り入れ、日射遮蔽、そして何と
いっても、冬の屋根からの熱利用、夏の地熱からの冷風利用などなどの自然と積極的に(アクティブ)に向き合いつつ消極的な人工エネルギーを使わない(パッ
シブ)な設えの両立を図った家作りに現れています。
エネルギー利用の面では、屋根下で集めた暖かい空気を室内に循環させ、床下から地熱を利用した換気装置を兼ねた熱交換をおこなっています。
このパネルはその制御盤類。この建物はオール電化の考えはありませんが、冬は夜11時〜朝7時の時間帯だけ安い深夜電気を使い、ヒートポンプ
(空気を圧縮し得た熱を熱源にするエアコンの室外機のようなもの)で給湯 エアコンを使って室内を夜間暖め、家の中の暖かい温度を表に逃がさな
い方法のこの家。夜間の暖房は日中はまで持ち越す方法をとっています。日中〜夜10時まで前日の暖房 を持ち越し、日中の日射という自然エネル
ギーと深夜のヒートポンプの夜間暖房というエネルギー消費は一月6000円というから凄い。ちなみにこちらは1階が37坪、延べ60坪近いのにこのエ
ネルギー効率はかなりいい。太陽光発電や、床暖房なしでこれだけ可能なのはすべて上野社長のアイディアから。
A増改築:【住まう人】【造る人】もずっと同じ。親の代から引き継がれた築30余年の家
同じ塩谷町で【木の城工房】さんのすぐ近くの家屋。かつて上野社長の大工のお父さん(まだ現役)が建てた日本家屋。築30数年経ち、息子さんの時代にまた
リフォームされました。外観は玄関ドアが新しくなっただけのイメージですが中に足を踏み入れると中は一新。キッチン、脱衣室、浴室など水周りは増改築し元の
位置から移設、2階のトイレなど30余年前の暮らしにくさを解消するリモデルです。
無垢の床や壁と天井の漆喰塗り壁といった自然素材エコの定番もそうですが、窓、ドアなどの開口部の断熱改修が大きなポイントでした。
取材:日本民家再生リサイクル協会正会員 潟Aップル・リフォームアップル自治医大店 大竹清彦
JMRA企画の沖縄民家を訪ねる旅をご紹介いたします。↓
【古民家再生の環境的側面】
日本の産業廃棄物のうち約20%を建設廃棄物が占め、民生部門のエネルギーのうち約45%を住宅が占めると言われる。社会全体の環境負荷の低減を図るには、この住宅建築をいかに環境配慮型に変えていくかが重要な課題です。住宅建材のリサイクル率向上や生活エネルギー使用量減少はどうすれば可能なのか?わたしたちは伝統的な素材、工法に、関わる最先端の知識に触れ、エコロジカルな視点からも民家再生に注力しています。
毎年建っている戸建住宅は約数十万戸で、最新の技術、性能を持ちます。しかし、立て替えればで、産業廃棄物と大量のゴミを発生させます。そして、もうすでに建ってしまっている既存住宅1500万戸はどうすればいいのでしょうか?わたしたちはリモデル、リフォーム(欧米ではリフォームというと歯の矯正の意味も含まれ、一般的にはリモデリング、ホームインプルーブメントと言われています。)を通じて、ゴミ問題も含むエネルギーなどの環境負荷低減をはかってまいります。とりわけ大きな機械装置(製造エネルギーが多大で廃棄時にリサイクルできないものを主に言います)の導入でアクティブな「省エネ」を図る方法よりも、より自然エネルギーをそのままの形で活用するパッシブな「省エネ」デザイン、設計を心がけていこうと考えます。
『ふるさと』というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと『八郷』は、私達に教えようとしています。『町守り』は『町興し』に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
『町守り』とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
NPO日本民家再生リサイクル協会正会員(株)アップル 大竹清彦
―栃木・藤岡町/青木邸・古民家解体(2007.11月) ⇒小山市/塩田邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2008.7月)―
静かな農村地帯に昔懐かしい風情を残す「青木邸」は江戸時代には、この土地で栄えていた大規模な農家。現在、旧道沿いに立つこの家の母屋は約100年前のもの。昔は街道の両脇に茅葺屋根の家々が立ち並ぶ日本の原風景を残す土地でもあった。最近はテレビの番組でも多く登場するようになった古民家とはいえ、子供の頃には「暗くて寒くて怖い」場所と思い育ったそうです。お母さんとの2世帯住宅を建てる決意をされたものの、祖先が使い残してくれたこの母屋をただ解体することに寂しさを感じていらした青木さんご夫婦。「まだ、使えるものなら是非、再生に活用て使い続けて下さい」と。まさに「200年住宅」の真髄ではないでしょうか?昔から、捨てずに大切に使い続けてきた構造材。本来、日本では当たり前に行われてきた建築文化です。もちろん、何もせず、200年耐用できるものなど何処にもありません。定期的に修理修繕し、次代を越え愛着を持ちながらメンテナンスし熟成されてきたのです。大切に使い住み続ける社会の実現。これこそがわたしたちの目指す「200年住宅」の意味するところではないでしょうか?青木さん、わたしたちアップルで古材として立派にリモデリングで大切に活用させていただきます。
Before(青木邸)
当時の貫工法(在来工法の原型)や竹小舞の土壁。地場の欅と松の曲がり梁が素晴らしい。
After(再生リモデル完成しました・塩田邸)
増改築前(外観) (和室) (廊下) 改装中:古材をクレーンで搬入
改装中:青木さんの地松の古材梁を2本活用、ドイツ・リボス自然素材塗料で綺麗に蘇る。
改築後(廊下)杉の古材柱を廊下でも活用、手洗いをしつらえ、トイレも増設。内装はスイス本漆喰左官&ドイツ・ウッドチップクロス張り
改築後(寝室)
改築後(和室:1) 内装:ドイツ・ウッドチップクロス (和室:2)内装:愛知・桃山土壁(弁柄壁)
その他の古材活用リモデリング例 Before⇒After
よくある普通の和室 「古材の柱」で作った「自在ガキ」をぶら下げ、囲炉裏風の設えに。
「古材梁」を4本使っています。
古民家を見て、その素晴らしさに感動する人は多い。その佇まいはわたしたちの五感に訴えるものは非常に多いが、本当の素晴らしさと意味するところは、自然のシステムが無駄なく利用されている先人たちの知恵に気づく点です。民家に蓄積された仕掛け、例えば風を防ぐ工夫、逆に風を導く工夫、高湿から室内を守る工夫、暗さを補う天窓の工夫といった仕掛けは、わたしたちのスローライフな暮らし方を見直すことを教えてくれます。これは過去への回帰を意味するのでなく、未来の住宅のために、伝統技術を見直し、継承し、新しい知恵を加えるということにつながって行きます。 民家の様々な歴史、文化的な背景を知ることは、ものの真の価値を知ることも出来ます。 裏付けのある知識を持つことで「先人たちの知恵」のルーツを知ることが出来ます。 例えば、家族団らんの食事は囲炉裏を囲んで・・・と思われていますが実は、『囲炉裏』は養蚕のための暖房であり、生活に余裕はなく、封建的なスタイルで食事は各自お膳で取っていた・・・。 しかし、現在はそのような封建的な風習はありませんから、『囲炉裏』は家族で仲良くみんで囲めばいい。 このように、民家を知ることは、わたしたちの先人たちの、地域にあった住まい方を正しく知り、その知恵を活用し、さらに長い年月をかけ熟成させていくものではないでしょうか。
「エコの先端をいく文化を取り戻す」ビンテージリフォーム
江戸時代から、木材を再利用するのは当り前の時代でした。これがいつしか捨てる文化に変わってしまった。究極のエコロジーは、そのままの形で出来るだけ長く使うこと。ビンテージリフォームは、そんな私達の考えが詰まったコンセプト・リフォームです!リフォームアップルで強力に推進中!
古材を多用するビンテージリフォームは、高い志と古来の伝統工法の豊富な見識を習得した古材施工技術士に是非一度ご相談下さい。
===大切なものを壊さず、使い継ぎ再生させる。福島県会津から古材を入荷しました。=== |
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