群馬県/【六合村】 重伝建地区指定で山村のむらおこし

【日時】平成21年5月13日(水)

                      群馬県吾妻郡/六合村【赤岩地区】視察
          
特徴ある養蚕農家の街並み
JR吾妻線の長野原草津口駅から花敷温泉行きの路線バスに乗り山間を10分も行くと右手遥か、谷間の山裾に山村集落の美しい風景が目に入ります。2005年7月に群馬県で初の重要伝統的建造物郡保存地区に指定された六合村・赤岩地区です。街道から白砂川を渡れば赤岩集落に到達します。ここ六合村は群馬県の北西部で長野県と新潟県に接する広大な地区ですが赤岩集落はその最南端に位置しています。集落を横断する道に沿い50戸ほどの住宅が建ちその半数が特徴ある養蚕農家です。切妻、平入りの総二階。豪壮な三階建も二棟ありますが狭い土地を利用するため。一階は住居、二階以上は間仕切りのない一室で養蚕の仕事場でした。群馬県の養蚕地帯の建物は【せがい造り】ですが、二階の外側に縁をめぐらせ、それを覆うための大屋根が特徴です。【せがい造り】は室内の柱が減らせ作業には好都合で、屋根の庇は長くなるため、軒下が作業場として便利に使えました。

  
 
山懐に抱かれた赤岩集落
       
     
               途中の渓流の美しさに車を止める人々は多い                     赤岩集落の入口に目印の水車小屋が建つ
    
美しい景観と住民のまとまりで重伝建地区に
赤岩地区の建築年代は江戸末期のものもありますが、多くは養蚕が盛んで生糸が輸出された明治から昭和初期の建物が多いです。重伝建地区といえば、一般的には宿場町、城下町の街並みが多いですが、このような山村集落が認定されるケースは少ないです。『元々は景観保全として、1994年に【美しい農村景観の保全事業】が始まり、そのモデル地区に赤岩集落が選ばれたことによります。』(赤岩重伝建地区保存活性化委員会委員長・村会議員・篠原辰夫さん談)
その後、重伝建地区に向けた調査報告を行い2005年2月に文化庁に申請を行い、7月に認定を受けました。
   
 土壁に漆喰、伝統的な民家の佇まいが道沿いに続きます。漆喰の原料の石灰岩は空気中のCo2と反応しながら100年かけ元の石灰岩に戻ります。
   
 分厚い土壁は窓の周りを見れば分かります。草津の豪雪よりは少しは優しくも厳しい山麓集落の民家の断熱材として土壁は生かされた。
   
 耐火構造でもある土壁プラス漆喰。民家同様に蔵も残されていました。住宅は約50戸あるが空き家は一軒もない。
   
 保存地区は東西1070m、南北930m、63haと広い。建物66件のうち主屋24件、蔵・納屋42件ほか、石垣、石段、道祖神、石仏など工作物117件が保存対象。
           
 蔵の外壁は耐火構造の【土蔵造り】。屋根も同様の耐火構造の【置屋根】が乗せられている。
   
        *【せがい造り】・・・主家の柱から腕木を跳ね出して桁を乗せ、この部分に軒天井を張る方法。出し桁造りともよばれます。

人が集まる魅力的な重伝建地区を目指す
赤岩集落はかつて山仕事と炭焼き、雑穀農業で暮らしを立てていましたが、明治以降の養蚕産業が戦後まもなくまで続いたが、昭和40年以降の生糸の輸入に押され、衰退しました。全国の山村がたどった道と同じです。『重伝建保存地区として地域の活性化を図ろうと新たな取り組みが始まったばかりです』(重伝建地区保存活性化委員会委員長・篠原辰夫さん談)
養蚕農家【かいこの家】を公開し用具や資料の展示、ソバを挽く【水車小屋】と【農産物直売所】もその試みのひとつです。ほかにグリーンツーリズムの一環で耕作放棄された畑を大豆栽培地として生育してもらい、豆腐と味噌をつくり、凍み豆腐に加工、県内外から参加してもらっています。集落は有名な温泉地でもあり民宿や地元野菜の田舎料理を楽しむ食事処など、歴史と文化を資源に観光を中心に取り組んでいくそうです。群馬県では、富岡製糸工場を中心に養蚕の現場、製糸、絹織物工業を含めた地域全体を世界遺産に登録しようと運動が始まっています。
   

重伝建地区の周辺で見つけたもの
この重伝建地区である赤岩集落はまだまだ観光地化されておらず、人ごみを避けた散策にはおすすめですが、ほかのポイントで見つけたものを幾つかご紹介しておきます。
伊香保温泉を過ぎ、中之条〜長野原草津口のちょうど中間点に松谷地区があります。そこで長年水車の製作をおこなってきた水出登四男さんを取材して来ましたので、画像で紹介したいと思います。
   
ここは中之条〜長野原草津口のちょうど中間辺りの松谷地区(吾妻郡)街道沿いに大きな高速道路の橋が見えます。その道路の反対側に水出さんの自宅と小さな作業場があります。
水出さんは30年前に林業を止め、水車職人に代わりました。当時は未だ渓流に水車を作り粉引きしたり、簡単な発電までやっていた時代です。現在は日本料理屋、大きな蕎麦屋など商業施設からの装飾仕事がほとんどとなりかつてのような実用品の役割はほとんどなくなったそうです。
    
水車の大きな歯車は入山(六合村のさらに奥地)のカラマツ、車輪の芯は地元(松谷)の赤松を必ず使うそうです。どちらも地場のものでないと輸送費の面、耐久性能で問題があるそうです。ふと作業場の奥から【水車のミニチュア】を発見。こちらも上の【入山のカラマツ】と地元の【赤松の枝】と杉皮を使って約1週間掛けて作ったそうです。あまりの出来のよさと本格的な手づくりに感心し一つ分けていただきました。ミニチュアですが水流で水車は回せます。受け部分は銅板がしっかり巻かれており、水車の回転で建物中の突き棒で粉引きする仕組みになっているんです。トントンと棒で突きたたく音がします。このミニチュアの一部分で使われた赤松の枝と杉皮は何と!向かい側にあるこの神社から少しづついただいたものだそうです。
だから年に数個しか作らない。徹底したもの作りに感動さえ覚えます。
 

もうひとつ、おすすめなのが赤岩集落を草津方面左折を過ぎ、さらに少し北上して行きます。途中『応徳温泉』『湯の平温泉』を過ぎ、有名な【尻焼温泉】超有名な【花敷温泉】の途中ちょっと右折した先ほどの水車のカラマツの産地【入山】に向かいます。このほんの集落にあるおいしい蕎麦屋【野のや】さんは平日のお昼過ぎでも評判を聞いた観光客の人でほぼ満席。
地粉の手打ち蕎麦はまた来たくなるお味でした。
  

         参加及び取材:日本民家再生リサイクル協会正会員 潟Aップル・リフォームアップル自治医大店  大竹清彦 
【茅葺屋根の古民家】
八郷町には60余棟の『茅葺の里』があります。毎年年末に、八郷町の地元の【茅葺屋根保存会】の方々と、とわたしたち【民家再生リサイクル協会】茅刈り隊】、筑波大学生らのボランティアを含むメンバー(200名近く)は【つくば学園都市】にある高分子研究センターでヨシ刈りを行なっています。八郷の茅葺屋根の葺替えに使うための【ヨシ刈り】です。
そして、毎年この4月初旬に、民家再生リサイクル協会では、八郷町、地元【茅葺屋根保存会】の方々と、茅葺古民家で交流会を行い、早春の一日を美しい里山と日本の原風景が残る茅葺集落で過ごしております。
戦後のヨーロッパでも、日本と同じように茅葺屋根は激減しましたが、現在は高級住宅地などのステータスシンボルとして使われ人気が高いそうです。・・・
さて、日本の茅葺について。かつての日本の茅葺文化は農村生活と深く結びつき社会活動とのかかわりが欠かせませんでした。筑波一帯は、江戸城の鬼門を守る門前町として栄え、特に筑波山麓では江戸末期からは専門職として【茅葺職人】が成り立ち、地方ごとに特異な形の技術が発達しながら、地域社会と強い関わりを持ってきました。村人は【ユイ・結】を組織し、茅葺を手伝い、古くなった屋根の改修で出た【古茅】は大切にリサイクルしていました。また、重要な肥料として農地に還元され、その【マテリアル】自体も自己完結型で地域循環していました。
筑波の茅葺屋根の【軒】の特徴は、軒が5〜7段も葺いた重厚なものが多く、屋根棟は【屋根グシ】と呼ばれ、カマボコ型の丸グシが特徴です。
【ふるさと】というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと【八郷】は、私達に教えようとしています。こうした集落での【町守り】は【町興し】に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
【町守り】とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
次回は、中国は西安、党家村の取材です。中国の壮大な歴史上11もの時代の首都であった『西安』。日本とも歴史上つながりが深い『長安』を昨年の北京に引き続き取材します。
                 
古民家再生の環境的側面】
日本の産業廃棄物のうち約20%を建設廃棄物が占め、民生部門のエネルギーのうち約45%を住宅が占めると言われる。社会全体の環境負荷の低減を図るには、この住宅建築をいかに環境配慮型に変えていくかが重要な課題です。住宅建材のリサイクル率向上や生活エネルギー使用量減少はどうすれば可能なのか?わたしたちは伝統的な素材、工法に、関わる最先端の知識に触れ、エコロジカルな視点からも民家再生に注力しています。
毎年建っている戸建住宅は約数十万戸で、最新の技術、性能を持ちます。しかし、立て替えればで、産業廃棄物と大量のゴミを発生させます。そして、もうすでに建ってしまっている既存住宅1500万戸はどうすればいいのでしょうか?わたしたちはリモデル、リフォーム(欧米ではリフォームというと歯の矯正の意味も含まれ、一般的にはリモデリング、ホームインプルーブメントと言われています。)を通じて、ゴミ問題も含むエネルギーなどの環境負荷低減をはかってまいります。とりわけ大きな機械装置(製造エネルギーが多大で廃棄時にリサイクルできないものを主に言います)の導入でアクティブな「省エネ」を図る方法よりも、より自然エネルギーをそのままの形で活用するパッシブな「省エネ」デザイン、設計を心がけていこうと考えます。
『ふるさと』というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと『八郷』は、私達に教えようとしています。『町守り』は『町興し』に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
『町守り』とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
                           
                             NPO日本民家再生リサイクル協会正会員(株)アップル 大竹清彦

          ―栃木・藤岡町/青木邸・古民家解体(2007年) ⇒小山市/塩田邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2008年)―
静かな農村地帯に昔懐かしい風情を残す「青木邸」は江戸時代には、この土地で栄えていた大規模な農家。現在、旧道沿いに立つこの家の母屋は約100年前のもの。昔は街道の両脇に茅葺屋根の家々が立ち並ぶ日本の原風景を残す土地でもあった。最近はテレビの番組でも多く登場するようになった古民家とはいえ、子供の頃には「暗くて寒くて怖い」場所と思い育ったそうです。お母さんとの2世帯住宅を建てる決意をされたものの、祖先が使い残してくれたこの母屋をただ解体することに寂しさを感じていらした青木さんご夫婦。「まだ、使えるものなら是非、再生に活用て使い続けて下さい」と。まさに「200年住宅」の真髄ではないでしょうか?昔から、捨てずに大切に使い続けてきた構造材。本来、日本では当たり前に行われてきた建築文化です。もちろん、何もせず、200年耐用できるものなど何処にもありません。定期的に修理修繕し、次代を越え愛着を持ちながらメンテナンスし熟成されてきたのです。大切に使い住み続ける社会の実現。これこそがわたしたちの目指す「200年住宅」の意味するところではないでしょうか?青木さん、わたしたちアップルで古材として立派にリモデリングで大切に活用させていただきます。
                          Before(青木邸
     

   
 当時の貫工法(在来工法の原型)や竹小舞の土壁。地場の欅と松の曲がり梁が素晴らしい。
  
                  After(再生リモデル完成しました
塩田邸
     
 
増改築前(外観)              (和室)                    (廊下)         改装中古材をクレーンで搬入
        
 
          改装中:青木さんの地松の古材梁を2本活用、ドイツ・リボス自然素材塗料で綺麗に蘇る。 
  改築後(廊下)杉の古材柱を廊下でも活用、手洗いをしつらえ、トイレも増設。内装はスイス本漆喰左官&ドイツ・ウッドチップクロス張り
 
    
  改築後(寝室)
   
  改築後(和室:1) 内装:ドイツ・ウッドチップクロス                (和室:2)内装:愛知・桃山土壁(弁柄壁)  
    

 
              その他の古材活用リモデリング例  Before⇒After
                          
                        よくある普通の和室      「古材の柱」で作った「自在ガキ」をぶら下げ、囲炉裏風の設えに。
                                           「古材梁」を4本使っています。

古民家を見て、その素晴らしさに感動する人は多い。その佇まいはわたしたちの五感に訴えるものは非常に多いが、本当の素晴らしさと意味するところは、自然のシステムが無駄なく利用されている先人たちの知恵に気づく点です。民家に蓄積された仕掛け、例えば風を防ぐ工夫、逆に風を導く工夫、高湿から室内を守る工夫、暗さを補う天窓の工夫といった仕掛けは、わたしたちのスローライフな暮らし方を見直すことを教えてくれます。これは過去への回帰を意味するのでなく、未来の住宅のために、伝統技術を見直し、継承し、新しい知恵を加えるということにつながって行きます。 民家の様々な歴史、文化的な背景を知ることは、ものの真の価値を知ることも出来ます。 裏付けのある知識を持つことで「先人たちの知恵」のルーツを知ることが出来ます。 例えば、家族団らんの食事は囲炉裏を囲んで・・・と思われていますが実は、『囲炉裏』は養蚕のための暖房であり、生活に余裕はなく、封建的なスタイルで食事は各自お膳で取っていた・・・。 しかし、現在はそのような封建的な風習はありませんから、『囲炉裏』は家族で仲良くみんで囲めばいい。 このように、民家を知ることは、わたしたちの先人たちの、地域にあった住まい方を正しく知り、その知恵を活用し、さらに長い年月をかけ熟成させていくものではないでしょうか。
                    「エコの先端をいく文化を取り戻す」ビンテージリフォーム
江戸時代から、木材を再利用するのは当り前の時代でした。これがいつしか捨てる文化に変わってしまった。究極のエコロジーは、そのままの形で出来るだけ長く使うこと。ビンテージリフォームは、そんな私達の考えが詰まったコンセプト・リフォームです!リフォームアップルで強力に推進中!
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本格的に古民家をほどき、移築するのではなく、もっとライトな感覚で古材を生活の中で活用してみましょう。 たとえば、和室に『囲炉裏』 や庭に『茶室』・古民家風のわたしの 『アトリエ」』などはいかがでしょう。二階の『使わなくなった部屋』を古民家風に設えてもいいでしょう。厳格なエコロジストではなく、もっと気楽にライトに生活を楽しむチルチン人やロハスな人々。…そんなライフスタイルの方々が急増しています。
潟Aップルではそんなロハスな方々を応援中です。
    リフォームアップル自治医大店 大竹清彦

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