埼玉県・大利根町/【登録文化財・小川家住宅】

【期日】2009年7月8日(水)

          埼玉県北埼玉郡大利根町/古民家が図書館に生まれ変わる
                                
                                
 ●大利根町は埼玉県北東部に位置し、利根川の中流にあり、関東平野の典型的な農村。原風景が色濃いこの地域の人口は1万5千人で農家が点在する散居型で、未だにこんもりと森をなした屋敷林に囲まれ長屋門を構えた大きな農家が見える。1997年、東京在住の小林家兄弟が『町で活用してほしい』と2500坪の家屋敷すべてを寄贈された。利根川流域の豪農の往時のくらしを伝える屋敷構えであるが、数十年も空き家で樹木も伸び放題の状態であった。町では町づくりの枠組みの中で、保存活用していく可能性を模索していた。

   
 ●小林家は明治に分家した小規模の地主であるが、小学校校長や医師を輩出した名家でもあり、東京に生活を移した当主が疎開のため戻り、ここで昭和24年まで医院を開業していた。サンゴジュ、シラカシ、ケヤキなどに囲まれた屋敷林は暴風、洪水対策としての役目を負っていた。北側に盛り土した小高い場所は洪水時の避難場所である。屋敷の東側の『構え堀』といわれる『堀割り』も残り、また南北の用水路で周囲から隔たるようにできている。昭和22年の利根川決壊のときのカスリン台風のときには、この北側の小高い場所に3〜40人が数日間過ごした。
   
●主屋は、明治13年に建てられた木造2階建ての準農家建築で、当初から瓦葺でした。規模は桁行8間、梁行4間半で、北西側に8帖の角屋(内階段のある納戸)がついた逆L型の平面である。間取りは東側に土間を構え、小屋まで通しのケヤキの大黒柱は400X420ミリの太さであった。
   
●2000年9月、設計指定コンペが行われ小林家住宅を児童館に替え、一般図書館を木造で新築する案が採択された。小林家住宅は曳家し水塚は移し、構え堀を再生整備しビオトープをつくることが決定した。全体のイメージは森の中の図書館であった。2001年に工事着工し、公園整備まで含め3ヵ年かかった。一般図書館は、新築であり、埼玉県産である杉を主体にした木造平屋の大空間である。床は信州唐松材の縁甲板を敷き、天窓から光が降り注ぐ明るくやさしい空間となった。この図書館は2004年3月に開館した。
  
●しかし、【小林家住宅】は工事中の不審火で炎上。急遽、埼玉草加市に現存した【大川家住宅】の古民家移築が決定した。大川家は草加宿の伝馬の宿駅で2度にわたり明治天皇の行在所となった由緒ある家であった。大川家はまず草加市に寄贈し、市は草加の成り立ちを伝える記念館として移築再生を決めた。このような経緯を経た後に完成したのである。
   
●大川家は安政6年(1859年)起工、慶応元年(1865年)上棟、同4年(1868年)完成。実に9年の歳月を掛け建設された堂々たる家である。主屋は寄棟造り、桟瓦葺きの平屋建100坪であり、桁行12間、梁間5間を上屋とし、正面に突出した玄関を構えていた。
    
●児童館は、元の家の骨格をできる限りいかし、間口は2間詰めたが床は無垢、漆喰壁に梁組をそのまま見せたあらわしとした。明日を担う子供たちに本物の日本家屋の空間を体験してもらい木の肌触りを伝えている。そのため敷地内に存在した欅でテーブルを製作するなどの取り組みもなされた。また欄間を2枚屏風風にしたり、つけ書院を設置したり、板戸で暗転する仕掛けにしている。
  
●見事な館内から見た見事な周りの景観、開口部は高気密高断熱の木サッシにペアガラス。
                   大利根町【童謡のふる里図書館・ノイエ】 住所:埼玉県北埼玉郡大利根町大字琴寄597−1 0480−78−2211

         取材:日本民家再生リサイクル協会正会員 潟Aップル・リフォームアップル自治医大店  大竹清彦 
【茅葺屋根の古民家】
八郷町には60余棟の『茅葺の里』があります。毎年年末に、八郷町の地元の【茅葺屋根保存会】の方々と、とわたしたち【民家再生リサイクル協会】茅刈り隊】、筑波大学生らのボランティアを含むメンバー(200名近く)は【つくば学園都市】にある高分子研究センターでヨシ刈りを行なっています。八郷の茅葺屋根の葺替えに使うための【ヨシ刈り】です。
そして、毎年この4月初旬に、民家再生リサイクル協会では、八郷町、地元【茅葺屋根保存会】の方々と、茅葺古民家で交流会を行い、早春の一日を美しい里山と日本の原風景が残る茅葺集落で過ごしております。
戦後のヨーロッパでも、日本と同じように茅葺屋根は激減しましたが、現在は高級住宅地などのステータスシンボルとして使われ人気が高いそうです。・・・
さて、日本の茅葺について。かつての日本の茅葺文化は農村生活と深く結びつき社会活動とのかかわりが欠かせませんでした。筑波一帯は、江戸城の鬼門を守る門前町として栄え、特に筑波山麓では江戸末期からは専門職として【茅葺職人】が成り立ち、地方ごとに特異な形の技術が発達しながら、地域社会と強い関わりを持ってきました。村人は【ユイ・結】を組織し、茅葺を手伝い、古くなった屋根の改修で出た【古茅】は大切にリサイクルしていました。また、重要な肥料として農地に還元され、その【マテリアル】自体も自己完結型で地域循環していました。
筑波の茅葺屋根の【軒】の特徴は、軒が5〜7段も葺いた重厚なものが多く、屋根棟は【屋根グシ】と呼ばれ、カマボコ型の丸グシが特徴です。
【ふるさと】というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと【八郷】は、私達に教えようとしています。こうした集落での【町守り】は【町興し】に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
【町守り】とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
次回は、中国は西安、党家村の取材です。中国の壮大な歴史上11もの時代の首都であった『西安』。日本とも歴史上つながりが深い『長安』を昨年の北京に引き続き取材します。
                 
古民家再生の環境的側面】
日本の産業廃棄物のうち約20%を建設廃棄物が占め、民生部門のエネルギーのうち約45%を住宅が占めると言われる。社会全体の環境負荷の低減を図るには、この住宅建築をいかに環境配慮型に変えていくかが重要な課題です。住宅建材のリサイクル率向上や生活エネルギー使用量減少はどうすれば可能なのか?わたしたちは伝統的な素材、工法に、関わる最先端の知識に触れ、エコロジカルな視点からも民家再生に注力しています。
毎年建っている戸建住宅は約数十万戸で、最新の技術、性能を持ちます。しかし、立て替えればで、産業廃棄物と大量のゴミを発生させます。そして、もうすでに建ってしまっている既存住宅1500万戸はどうすればいいのでしょうか?わたしたちはリモデル、リフォーム(欧米ではリフォームというと歯の矯正の意味も含まれ、一般的にはリモデリング、ホームインプルーブメントと言われています。)を通じて、ゴミ問題も含むエネルギーなどの環境負荷低減をはかってまいります。とりわけ大きな機械装置(製造エネルギーが多大で廃棄時にリサイクルできないものを主に言います)の導入でアクティブな「省エネ」を図る方法よりも、より自然エネルギーをそのままの形で活用するパッシブな「省エネ」デザイン、設計を心がけていこうと考えます。
『ふるさと』というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと『八郷』は、私達に教えようとしています。『町守り』は『町興し』に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
『町守り』とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
                           
                             NPO日本民家再生リサイクル協会正会員(株)アップル 大竹清彦

          ―栃木・藤岡町/青木邸・古民家解体(2007年) ⇒小山市/塩田邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2008年)―
静かな農村地帯に昔懐かしい風情を残す「青木邸」は江戸時代には、この土地で栄えていた大規模な農家。現在、旧道沿いに立つこの家の母屋は約100年前のもの。昔は街道の両脇に茅葺屋根の家々が立ち並ぶ日本の原風景を残す土地でもあった。最近はテレビの番組でも多く登場するようになった古民家とはいえ、子供の頃には「暗くて寒くて怖い」場所と思い育ったそうです。お母さんとの2世帯住宅を建てる決意をされたものの、祖先が使い残してくれたこの母屋をただ解体することに寂しさを感じていらした青木さんご夫婦。「まだ、使えるものなら是非、再生に活用て使い続けて下さい」と。まさに「200年住宅」の真髄ではないでしょうか?昔から、捨てずに大切に使い続けてきた構造材。本来、日本では当たり前に行われてきた建築文化です。もちろん、何もせず、200年耐用できるものなど何処にもありません。定期的に修理修繕し、次代を越え愛着を持ちながらメンテナンスし熟成されてきたのです。大切に使い住み続ける社会の実現。これこそがわたしたちの目指す「200年住宅」の意味するところではないでしょうか?青木さん、わたしたちアップルで古材として立派にリモデリングで大切に活用させていただきます。
                          Before(青木邸
     

   
 当時の貫工法(在来工法の原型)や竹小舞の土壁。地場の欅と松の曲がり梁が素晴らしい。
  
                  After(再生リモデル完成しました
塩田邸
     
 
増改築前(外観)              (和室)                    (廊下)         改装中古材をクレーンで搬入
        
 
          改装中:青木さんの地松の古材梁を2本活用、ドイツ・リボス自然素材塗料で綺麗に蘇る。 
  改築後(廊下)杉の古材柱を廊下でも活用、手洗いをしつらえ、トイレも増設。内装はスイス本漆喰左官&ドイツ・ウッドチップクロス張り
 
    
  改築後(寝室)
   
  改築後(和室:1) 内装:ドイツ・ウッドチップクロス                (和室:2)内装:愛知・桃山土壁(弁柄壁)  
    

 
              その他の古材活用リモデリング例  Before⇒After
                          
                        よくある普通の和室      「古材の柱」で作った「自在ガキ」をぶら下げ、囲炉裏風の設えに。
                                           「古材梁」を4本使っています。

古民家を見て、その素晴らしさに感動する人は多い。その佇まいはわたしたちの五感に訴えるものは非常に多いが、本当の素晴らしさと意味するところは、自然のシステムが無駄なく利用されている先人たちの知恵に気づく点です。民家に蓄積された仕掛け、例えば風を防ぐ工夫、逆に風を導く工夫、高湿から室内を守る工夫、暗さを補う天窓の工夫といった仕掛けは、わたしたちのスローライフな暮らし方を見直すことを教えてくれます。これは過去への回帰を意味するのでなく、未来の住宅のために、伝統技術を見直し、継承し、新しい知恵を加えるということにつながって行きます。 民家の様々な歴史、文化的な背景を知ることは、ものの真の価値を知ることも出来ます。 裏付けのある知識を持つことで「先人たちの知恵」のルーツを知ることが出来ます。 例えば、家族団らんの食事は囲炉裏を囲んで・・・と思われていますが実は、『囲炉裏』は養蚕のための暖房であり、生活に余裕はなく、封建的なスタイルで食事は各自お膳で取っていた・・・。 しかし、現在はそのような封建的な風習はありませんから、『囲炉裏』は家族で仲良くみんで囲めばいい。 このように、民家を知ることは、わたしたちの先人たちの、地域にあった住まい方を正しく知り、その知恵を活用し、さらに長い年月をかけ熟成させていくものではないでしょうか。
                    「エコの先端をいく文化を取り戻す」ビンテージリフォーム
江戸時代から、木材を再利用するのは当り前の時代でした。これがいつしか捨てる文化に変わってしまった。究極のエコロジーは、そのままの形で出来るだけ長く使うこと。ビンテージリフォームは、そんな私達の考えが詰まったコンセプト・リフォームです!リフォームアップルで強力に推進中!
古材を多用するビンテージリフォームは、高い志と古来の伝統工法の豊富な見識を習得した古材施工技術士に是非一度ご相談下さい。

 ===大切なものを壊さず、使い継ぎ再生させる。福島県会津から古材を入荷しました。===

                      【古材でリモデルしませんか?】 
ビンテージ・リフォームは、そのままの形を出来るだけ長く使い、捨てない文化を取り戻し、究極のエコロジカルの先端をいくコンセプト・リフォーム

      
本格的に古民家をほどき、移築するのではなく、もっとライトな感覚で古材を生活の中で活用してみましょう。 たとえば、和室に『囲炉裏』 や庭に『茶室』・古民家風のわたしの 『アトリエ」』などはいかがでしょう。二階の『使わなくなった部屋』を古民家風に設えてもいいでしょう。厳格なエコロジストではなく、もっと気楽にライトに生活を楽しむチルチン人やロハスな人々。…そんなライフスタイルの方々が急増しています。
潟Aップルではそんなロハスな方々を応援中です。
    リフォームアップル自治医大店 大竹清彦

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