【日時】平成22年・7月28日(水) |
【神田の家】(千代田区有形文化財)は神田明神の西隣に再建された江戸文化を伝える【遠藤家旧店舗・住宅】で昨年移築・完成した元材木問屋です。この家は、関東大震災の後、1927年(昭和2年)に神田鎌倉町に建てられ1972年に府中市に一度移築されていました。江戸時代かえ引継ぐ日本の文化を伝えたいと家族の希望で今回再び、2009年に千代田区に戻ってきたものです。遠藤家は江戸時代から続く材木商で優秀な職人の育成に尽力してきました。この建物には江戸時代からの建築技術が受け継がれ、至る所に職人の技とセンスが見て取れます。内部の撮影は禁止のため残念ながらお見せできませんが、希少な銘木や良材がふんだんに使用されています。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
参加及び取材:JMRA日本民家再生協会正会員 ㈱アップル 大竹 喜世彦
御茶ノ水駅から聖橋を渡り【明神さま】へ向かいました
神田の家は神田明神の左の西隣に再建されています 西側の駐車場の下を通ると、さほど暑さを感じないのは・・・この屋上緑化が完成したから
神田明神の駐車場の屋上庭園に上がると西隣にこの【神田の家】が見えてきます
【神田の家】の移築場所は幾つか候補があったそうですが、神田明神の隣が選ばれたのは、先代が神田木材企業組合長で神田明神の氏子総代を勤めていたこと、また【将門塚保存会】会長であったことが大きかったようです。
この家が【千代田区指定有形文化財】であることが示されている
敷地に巡らされた外塀から【神田の家】を見渡す 杉張りと黒漆喰のコンビネーションが見事に調和した建物である
屋号を示す【井政】の左が店舗用の玄関 右の小さいほうの玄関が家人の玄関
【神田の家】遠藤邸は2度の移築で、現在の規模は縮小(減築)する工事が施されています 今回の移築は京都の中村外二工務店が施工です
内観は残念ながら撮影禁止ですが、外観のこの【欄干】のデザインは素晴らしいフォルムです
銘木を上がり框につかった玄関、霧島杉笹杢板と屋久島杢板を交互に張った竿縁天井、壁に2段に回した化粧長押、屋久島の杢板を使った建具などなど
見所はたくさんありますが、撮影はNG まずは左側の材木商の方の玄関から中に入ります
玄関からの左手の商談室をうかがってみました
こちらわ右側の家人の玄関 見事な銘木の上がり框
玄関周りの腰壁、一見何の変哲がないように見せるところが江戸の粋なところ
家人側の玄関から商家のほうの廊下を眺める 中の撮影は禁止ですが、ここだけOKをもらいました 実は2階の【粋】な用材と銘木の数々が素晴らしい
右隣に移築された【茶室】 アンシンメトリー(非対称の)船底天井 にじり口もかがまず楽な姿勢で入れます
茶室の用材は京都北山磨き丸太や屋久杉の天井竿縁に胡麻竹角貼り等
外部の仕上げは、西側と北側が【黒漆喰】の磨き仕上げ その他は杉板張り 1階の欄干も【粋】な意匠を見せています
南・東側の板張りはささらご下見板張りで窓の手摺には欄干がつく
外観もそうですが、内部の造作も一見するとそれほどの華やかさや豪華さは感じません。むしろ質実剛健という印象です しかし、外部の装飾部分や内部の至る所に、職人達の技とセンスが光ります。そうしたものをひけらかさないという感覚は【江戸の粋】に通ずるものなのでしょう
茶室の空間は庭(露地)から始まるといわれるほど茶庭の存在は重要 客人は四つ目竹垣の枝折戸から入り、山茶花、椿、馬酔木に囲まれた蹲踞で心身を清めた後、
本席に入ります それぞれの四季が花が咲く趣は格別
外塀の【古色】の濃茶色と鬼灯のオレンジが相まって何とも【粋】
遠藤達蔵氏の長女でこの【神田の家】の移築を実現した神田木材企業組合理事長でもあります平野徳子さんはこの建物への思いを次のように語っています
【文化の基となっている日本の伝統的な価値、世界に類まれなる先人の美意識それを支えた職人の技
これら素晴らしい文化をこれから世界に羽ばたき次代を担う子供達に心にとどめてほしいと願っています】平野徳子さん談
参加及び取材:JMRA日本民家再生協会正会員 ㈱アップル 大竹 喜世彦
【エコロジーの先端、文化を取り戻す・ビンテージリフォーム】
【古材を活用した弊社アップルのリモデリング例】
―福島・田島町/I邸・古民家解体(2004年) ⇒下野市/T邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2009年)―
【古材を活用したリモデリング例】
―栃木・藤岡町/A邸・古民家解体(2007年) ⇒小山市/S邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2008年)―
静かな農村地帯に昔懐かしい風情を残す「青木邸」は江戸時代には、この土地で栄えていた大規模な農家。現在、旧道沿いに立つこの家の母屋は約100年前のもの。昔は街道の両脇に茅葺屋根の家々が立ち並ぶ日本の原風景を残す土地でもあった。最近はテレビの番組でも多く登場するようになった古民家とはいえ、子供の頃には「暗くて寒くて怖い」場所と思い育ったそうです。お母さんとの2世帯住宅を建てる決意をされたものの、祖先が使い残してくれたこの母屋をただ解体することに寂しさを感じていらした青木さんご夫婦。「まだ、使えるものなら是非、再生に活用て使い続けて下さい」と。まさに「200年住宅」の真髄ではないでしょうか?昔から、捨てずに大切に使い続けてきた構造材。本来、日本では当たり前に行われてきた建築文化です。もちろん、何もせず、200年耐用できるものなど何処にもありません。定期的に修理修繕し、次代を越え愛着を持ちながらメンテナンスし熟成されてきたのです。大切に使い住み続ける社会の実現。これこそがわたしたちの目指す「200年住宅」の意味するところではないでしょうか?青木さん、わたしたちアップルで古材として立派にリモデリングで大切に活用させていただきます。
Before(青木邸)
当時の貫工法(在来工法の原型)や竹小舞の土壁。地場の欅と松の曲がり梁が素晴らしい。
After(再生リモデル完成しました)
増改築前(外観) (和室) (廊下) 改装中:古材をクレーンで搬入
改装中:青木さんの地松の古材梁を2本活用、ドイツ・リボス自然素材塗料で綺麗に蘇る。
改築後(廊下)杉の古材柱を廊下でも活用、手洗いをしつらえ、トイレも増設。内装はスイス本漆喰左官&ドイツ・ウッドチップクロス張り
改築後(寝室)
改築後(和室:1) 内装:ドイツ・ウッドチップクロス (和室:2)内装:愛知・桃山土壁(弁柄壁)
【その他、古材を活用したリモデリング例】 Before⇒After
よくある普通の和室 「古材の柱」で作った「自在ガキ」をぶら下げ、囲炉裏風の設えに。
「古材梁」を4本使っています。
古民家を見て、その素晴らしさに感動する人は多い。その佇まいはわたしたちの五感に訴えるものは非常に多いが、本当の素晴らしさと意味するところは、自然のシステムが無駄なく利用されている先人たちの知恵に気づく点です。民家に蓄積された仕掛け、例えば風を防ぐ工夫、逆に風を導く工夫、高湿から室内を守る工夫、暗さを補う天窓の工夫といった仕掛けは、わたしたちのスローライフな暮らし方を見直すことを教えてくれます。これは過去への回帰を意味するのでなく、未来の住宅のために、伝統技術を見直し、継承し、新しい知恵を加えるということにつながって行きます。 民家の様々な歴史、文化的な背景を知ることは、ものの真の価値を知ることも出来ます。 裏付けのある知識を持つことで「先人たちの知恵」のルーツを知ることが出来ます。 例えば、家族団らんの食事は囲炉裏を囲んで・・・と思われていますが実は、『囲炉裏』は養蚕のための暖房であり、生活に余裕はなく、封建的なスタイルで食事は各自お膳で取っていた・・・。 しかし、現在はそのような封建的な風習はありませんから、『囲炉裏』は家族で仲良くみんで囲めばいい。 このように、民家を知ることは、わたしたちの先人たちの、地域にあった住まい方を正しく知り、その知恵を活用し、さらに長い年月をかけ熟成させていくものではないでしょうか。
江戸時代から、木材を再利用するのは当り前の時代でした。これがいつしか捨てる文化に変わってしまった。究極のエコロジーは、そのままの形で出来るだけ長く使うこと。ビンテージリフォームは、そんな私達の考えが詰まったコンセプト・リフォームです!リフォームアップルで強力に推進中!
古材を多用するビンテージリフォームは、高い志と古来の伝統工法の豊富な見識を習得した古材施工技術士に是非一度ご相談下さい。
日本民家再生リサイクル協会正会員 ㈱アップル・リフォームアップル自治医大店 大竹喜世彦
【茅葺屋根の古民家】
八郷町には60余棟の『茅葺の里』があります。毎年年末に、八郷町の地元の【茅葺屋根保存会】の方々と、とわたしたち【民家再生リサイクル協会】茅刈り隊】、筑波大学生らのボランティアを含むメンバー(200名近く)は【つくば学園都市】にある高分子研究センターでヨシ刈りを行なっています。八郷の茅葺屋根の葺替えに使うための【ヨシ刈り】です。
そして、毎年この4月初旬に、民家再生リサイクル協会では、八郷町、地元【茅葺屋根保存会】の方々と、茅葺古民家で交流会を行い、早春の一日を美しい里山と日本の原風景が残る茅葺集落で過ごしております。戦後のヨーロッパでも、日本と同じように茅葺屋根は激減しましたが、現在は高級住宅地などのステータスシンボルとして使われ人気が高いそうです。・・・
さて、日本の茅葺について。かつての日本の茅葺文化は農村生活と深く結びつき社会活動とのかかわりが欠かせませんでした。筑波一帯は、江戸城の鬼門を守る門前町として栄え、特に筑波山麓では江戸末期からは専門職として【茅葺職人】が成り立ち、地方ごとに特異な形の技術が発達しながら、地域社会と強い関わりを持ってきました。村人は【ユイ・結】を組織し、茅葺を手伝い、古くなった屋根の改修で出た【古茅】は大切にリサイクルしまた、重要な肥料として農地にも還元され、その【マテリアル】自体も自己完結型で地域循環していました。
【古民家再生の環境的側面】
日本の産業廃棄物のうち約20%を建設廃棄物が占め、民生部門のエネルギーのうち約45%を住宅が占めると言われる。社会全体の環境負荷の低減を図るには、この住宅建築をいかに環境配慮型に変えていくかが重要な課題です。住宅建材のリサイクル率向上や生活エネルギー使用量減少はどうすれば可能なのか?わたしたちは伝統的な素材、工法に、関わる最先端の知識に触れ、エコロジカルな視点からも民家再生に注力しています。
毎年建っている戸建住宅は約数十万戸で、最新の技術、性能を持ちます。しかし、立て替えればで、産業廃棄物と大量のゴミを発生させます。そして、もうすでに建ってしまっている既存住宅1500万戸はどうすればいいのでしょうか?わたしたちはリモデル、リフォーム(欧米ではリフォームというと歯の矯正の意味も含まれ、一般的にはリモデリング、ホームインプルーブメントと言われています。)を通じて、ゴミ問題も含むエネルギーなどの環境負荷低減をはかってまいります。とりわけ大きな機械装置(製造エネルギーが多大で廃棄時にリサイクルできないものを主に言います)の導入でアクティブな「省エネ」を図る方法よりも、より自然エネルギーをそのままの形で活用するパッシブな「省エネ」デザイン、設計を心がけていこうと考えます。
『ふるさと』というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと『八郷』は、私達に教えようとしています。『町守り』は『町興し』に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
『町守り』とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
NPO日本民家再生リサイクル協会正会員(株)アップル 大竹喜世彦
===大切なものを壊さず、使い継ぎ再生させる。福島県会津から古材を入荷しました。=== |
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