2つのエコ建築(パッシブハウス)/①新・古民家の誕生・矢板エコハウス

【日時】平成22年・11月 4日(木)

今年の栃木県生活学校連絡協議会主催のの研修旅行は「矢板エコハウス」視察と黒羽町「芭蕉の館と道の散策」、「大雄寺」住職の講話と盛りだくさんの研修内容となりました。参加者も40余名となり大いに盛り上がりました。生活学校の研修旅行は初参加であり、大変興味深く観察させていただいきました。特に2つの建築について省エネに結びつくであろう「地場産自然素材」の活用と「自然エネルギー」の活用の観点から画像を交えながらエコロジー的感想を述べさせていただきたいと思います。

                     取材:JMRA日本民家再生協会正会員 栃木県下野市生活学校やよい会副代表  ㈱アップル 大竹喜世彦
①【矢板エコハウス】
  
周囲に市庁舎、公共施設が集中する矢板エコハウスは、環境省「21世紀環境共生型住宅のモデル整備による建設促進事業」により全国20の自治体の中から選ばれ、環境省の補助金でそれぞれの地域の気候風土や特色を生かしたエコハウスの実現をめざし建設されました。地場産たかはら材をふんだんに活用した木造2階建のエコハウスの隣で建設中の「道の駅やいた」との連携でエコロジーなライフスタイルを提案予定で相乗効果を狙っています。この建物の主なスペックを下記に並べてみます。

                    ◆太陽光発電 ◆太陽熱利用給湯 ◆床下蓄熱層 ◆自然風利用 ◆日射遮蔽〔植栽・greenネット〕
                    ◆LED照明設備 ◆高気密高断熱 ◆雨水の利用 ◆家庭菜園〔地域の作物〕 ◆電気自動車用コンセント 
                    ◆地元たかはら材使用(檜・杉・ヒバ) ◆バイオマス燃料・薪ストーブ ◆土間廃ガラス再生タイル(リサイクル)等

  
                

                   【エコハウス矢板】の自然素材の活用とパッシブな省エネの設えを下記画像で紹介します。

【建物外部】 外壁の白い塗り壁は地場産ではなく、鹿児島・中霧島地方の塗り壁【シラス火山灰】なのは残念。
          栃木県内には葛生・粟野などの石灰岩産地があるが現在はセメント材の用途で使われている。
          同じ石灰岩から良質な【漆喰】は作れることから、漆喰の需要を上げ、今後の使い手側と産地との連携に期待したい。
  
             軒の出は夏の日射を遮り、冬の低い太陽光を建物内部に導くパッシブなもの
              
             主庭のアプローチは三和土(タタキ)土間で雨どいも付かない いずれの設えも雨水を土壌に浸透させる装置
              
             主庭の散水は井水(地下水)を活用  建設中の『道の駅・やいた』の屋根付駐車場は雨天時の障害者の乗車にかかる負担を配慮
              

【建物内部】
 玄関から吹き抜けの居間の腰壁には大谷石が使われているが、腰壁上の珪藻土はバインダー(繋ぎ材))に
          化学樹脂を多量に含むので残念
          栃木県内には葛生・粟野などの石灰岩産地があり良質な【漆喰】が本来生産でき、内外装共に使用できる
          あるいは、内装専用として【鹿沼土】の塗り壁材もふんだんに手に入るはずである。すぐ手に入る大手商社の
          塗り壁材は便利かもしれないが輸送にかかるエネルギーのことも考えると、地産地消の考えをもっと具現化してほしい
  
大きな吹き抜け空間の薪ストーブは地場産のバイオマス燃料が使われる 吹き抜け上の天窓は採光以外に、熱の温度差を利用した夏の排気など温熱循環に貢献している
  
和室の障子は柔らかな日射遮蔽が可能な便利な建具 和室以外さまざまな部位に活躍している  市の職員からレクチャーを受ける
  

  

【天窓の採光と開口部からの通風】 構造には地元『たかはら材』がふんだんに使われていることはもちろんであるが、開口部に注目
                          障子による日射調整が行われ、天窓や1・2階窓からの通風が計画的に設計されている
  
屋根上にあるパッシブ・ソーラーパネルは太陽熱集熱装置であり、給湯に活用されている 熱交換器のダクトが天井に見える
  
天窓はすべて開閉可能であり、日射取得以外に、上下の温度差を利用した自然換気をおこなう開口部でもある
  
薪ストーブの換気用煙突が吹き抜けのトップまで延びる
               

【壁・窓開口部の断熱および日射遮蔽】 腰壁には宇都宮の【大谷石】 腰壁から上の塗り壁は化学樹脂を多く含む
                             珪藻土なのが残念 大谷石と珪藻土以外の壁は【ささら板・落としみ】
                             壁の中には鉱物系(グラスウール)断熱材が入る
  
1階南面の掃出しドアはパッシブ・ソーラーの大きな役割を担う 冬の低く部屋の奥まで伸びは入る太陽熱は土間に蓄熱される『日射取得』の役目がある
  
サッシは内外の温度差にさらされるため木製+複層ガラスの断熱タイプ 網戸や全ての建具が外壁~内壁の壁内に収まる設え 夏には大きな涼風の出入口となる
  
これは2階南面の渡り廊下 一見何の変哲もないが、夏の間は畳を撤去すると1階の掃出しドアの大開口部から入る風は廊下天井の杉板の目透かしから2階へと通風する

【床下蓄熱と屋根上の太陽熱利用】 床下の蓄熱層に敷込まれた軽量な小石、床下の湿気対策のみならず蓄熱層の役割を担う
                           屋根のパッシブ・ソーラーは太陽熱を集熱し給湯と床下蓄熱に利用されている
  
一度蓄熱された日射熱は冬の間、床に切られたスリットからじわじわと床上を暖める 夏季は床下の冷気を部屋へ送る役割がある
   
暖房の熱源は吹き抜けにある薪ストーブ 燃料はもちろん地場産の間伐材である 
屋根上のパッシブ・ソーラーパネル3基は日中の日射を集め給湯に使う 夜間や悪天候時には1階和室脇にある押入れに隠された熱交換器(ヒートポンプ)が
作動してお湯を沸かす『ハイブリット・温熱ソーラー』となっている 弊社で採用しているパッシブ・ソーラー・パネルは給湯ではなく外気をパネル内で暖めダクト
で室内に温風を送り【暖房】として活用するものであるが原理は全く同じである  弊社【パッシブ・ソーラー暖房】
                                  

                                  取材:JMRA日本民家再生協会正会員 ㈱アップル 大竹 喜世

          【エコロジーの先端、文化を取り戻す・ビンテージリフォーム】

                           【古材を活用した弊社アップルのリモデリング例】
  ―福島・田島町/I邸・古民家解体(2004年) ⇒下野市/T邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2009年)
    

    

    

   

  

  

【古材を活用したリモデリング例】

   ―栃木・藤岡町/A邸・古民家解体(2007年) ⇒小山市/S邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2008年)
静かな農村地帯に昔懐かしい風情を残す「青木邸」は江戸時代には、この土地で栄えていた大規模な農家。現在、旧道沿いに立つこの家の母屋は約100年前のもの。昔は街道の両脇に茅葺屋根の家々が立ち並ぶ日本の原風景を残す土地でもあった。最近はテレビの番組でも多く登場するようになった古民家とはいえ、子供の頃には「暗くて寒くて怖い」場所と思い育ったそうです。お母さんとの2世帯住宅を建てる決意をされたものの、祖先が使い残してくれたこの母屋をただ解体することに寂しさを感じていらした青木さんご夫婦。「まだ、使えるものなら是非、再生に活用て使い続けて下さい」と。まさに「200年住宅」の真髄ではないでしょうか?昔から、捨てずに大切に使い続けてきた構造材。本来、日本では当たり前に行われてきた建築文化です。もちろん、何もせず、200年耐用できるものなど何処にもありません。定期的に修理修繕し、次代を越え愛着を持ちながらメンテナンスし熟成されてきたのです。大切に使い住み続ける社会の実現。これこそがわたしたちの目指す「200年住宅」の意味するところではないでしょうか?青木さん、わたしたちアップルで古材として立派にリモデリングで大切に活用させていただきます。
                          Before(青木邸
     

   
 当時の貫工法(在来工法の原型)や竹小舞の土壁。地場の欅と松の曲がり梁が素晴らしい。
  
                  After(再生リモデル完成しました

     
 
増改築前(外観)              (和室)                    (廊下)         改装中古材をクレーンで搬入
        
    
       改装中:青木さんの地松の古材梁を2本活用、ドイツ・リボス自然素材塗料で綺麗に蘇る。 
  改築後(廊下)杉の古材柱を廊下でも活用、手洗いをしつらえ、トイレも増設。内装はスイス本漆喰左官&ドイツ・ウッドチップクロス張り
 
    
  改築後(寝室)
   
  改築後(和室:1) 内装:ドイツ・ウッドチップクロス                (和室:2)内装:愛知・桃山土壁(弁柄壁)  
    

【その他、古材を活用したリモデリング例】 Before⇒After
                    
                   よくある普通の和室             「古材の柱」で作った「自在ガキ」をぶら下げ、囲炉裏風の設えに。
                                             「古材梁」を4本使っています。

古民家を見て、その素晴らしさに感動する人は多い。その佇まいはわたしたちの五感に訴えるものは非常に多いが、本当の素晴らしさと意味するところは、自然のシステムが無駄なく利用されている先人たちの知恵に気づく点です。民家に蓄積された仕掛け、例えば風を防ぐ工夫、逆に風を導く工夫、高湿から室内を守る工夫、暗さを補う天窓の工夫といった仕掛けは、わたしたちのスローライフな暮らし方を見直すことを教えてくれます。これは過去への回帰を意味するのでなく、未来の住宅のために、伝統技術を見直し、継承し、新しい知恵を加えるということにつながって行きます。 民家の様々な歴史、文化的な背景を知ることは、ものの真の価値を知ることも出来ます。 裏付けのある知識を持つことで「先人たちの知恵」のルーツを知ることが出来ます。 例えば、家族団らんの食事は囲炉裏を囲んで・・・と思われていますが実は、『囲炉裏』は養蚕のための暖房であり、生活に余裕はなく、封建的なスタイルで食事は各自お膳で取っていた・・・。 しかし、現在はそのような封建的な風習はありませんから、『囲炉裏』は家族で仲良くみんで囲めばいい。 このように、民家を知ることは、わたしたちの先人たちの、地域にあった住まい方を正しく知り、その知恵を活用し、さらに長い年月をかけ熟成させていくものではないでしょうか。
江戸時代から、木材を再利用するのは当り前の時代でした。これがいつしか捨てる文化に変わってしまった。究極のエコロジーは、そのままの形で出来るだけ長く使うこと。ビンテージリフォームは、そんな私達の考えが詰まったコンセプト・リフォームです!リフォームアップルで強力に推進中!
古材を多用するビンテージリフォームは、高い志と古来の伝統工法の豊富な見識を習得した古材施工技術士に是非一度ご相談下さい。
                             日本民家再生リサイクル協会正会員 ㈱アップル・リフォームアップル自治医大店 大竹喜世彦 
   

【茅葺屋根の古民家】
八郷町には60余棟の『茅葺の里』があります。毎年年末に、八郷町の地元の【茅葺屋根保存会】の方々と、とわたしたち【民家再生リサイクル協会】茅刈り隊】、筑波大学生らのボランティアを含むメンバー(200名近く)は【つくば学園都市】にある高分子研究センターでヨシ刈りを行なっています。八郷の茅葺屋根の葺替えに使うための【ヨシ刈り】です。
そして、毎年この4月初旬に、民家再生リサイクル協会では、八郷町、地元【茅葺屋根保存会】の方々と、茅葺古民家で交流会を行い、早春の一日を美しい里山と日本の原風景が残る茅葺集落で過ごしております。戦後のヨーロッパでも、日本と同じように茅葺屋根は激減しましたが、現在は高級住宅地などのステータスシンボルとして使われ人気が高いそうです。・・・
さて、日本の茅葺について。かつての日本の茅葺文化は農村生活と深く結びつき社会活動とのかかわりが欠かせませんでした。筑波一帯は、江戸城の鬼門を守る門前町として栄え、特に筑波山麓では江戸末期からは専門職として【茅葺職人】が成り立ち、地方ごとに特異な形の技術が発達しながら、地域社会と強い関わりを持ってきました。村人は【ユイ・結】を組織し、茅葺を手伝い、古くなった屋根の改修で出た【古茅】は大切にリサイクルしまた、重要な肥料として農地にも還元され、その【マテリアル】自体も自己完結型で地域循環していました。
古民家再生の環境的側面】
日本の産業廃棄物のうち約20%を建設廃棄物が占め、民生部門のエネルギーのうち約45%を住宅が占めると言われる。社会全体の環境負荷の低減を図るには、この住宅建築をいかに環境配慮型に変えていくかが重要な課題です。住宅建材のリサイクル率向上や生活エネルギー使用量減少はどうすれば可能なのか?わたしたちは伝統的な素材、工法に、関わる最先端の知識に触れ、エコロジカルな視点からも民家再生に注力しています。
毎年建っている戸建住宅は約数十万戸で、最新の技術、性能を持ちます。しかし、立て替えればで、産業廃棄物と大量のゴミを発生させます。そして、もうすでに建ってしまっている既存住宅1500万戸はどうすればいいのでしょうか?わたしたちはリモデル、リフォーム(欧米ではリフォームというと歯の矯正の意味も含まれ、一般的にはリモデリング、ホームインプルーブメントと言われています。)を通じて、ゴミ問題も含むエネルギーなどの環境負荷低減をはかってまいります。とりわけ大きな機械装置(製造エネルギーが多大で廃棄時にリサイクルできないものを主に言います)の導入でアクティブな「省エネ」を図る方法よりも、より自然エネルギーをそのままの形で活用するパッシブな「省エネ」デザイン、設計を心がけていこうと考えます。
『ふるさと』というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと『八郷』は、私達に教えようとしています。『町守り』は『町興し』に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
『町守り』とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
                           
                             NPO日本民家再生リサイクル協会正会員(株)アップル 大竹喜世彦

 ===大切なものを壊さず、使い継ぎ再生させる。福島県会津から古材を入荷しました。===

                      【古材でリモデルしませんか?】 
ビンテージ・リフォームは、そのままの形を出来るだけ長く使い、捨てない文化を取り戻し、究極のエコロジカルの先端をいくコンセプト・リフォーム

      
本格的に古民家をほどき、移築するのではなく、もっとライトな感覚で古材を生活の中で活用してみましょう。 たとえば、和室に『囲炉裏』 や庭に『茶室』・古民家風のわたしの 『アトリエ」』などはいかがでしょう。二階の『使わなくなった部屋』を古民家風に設えてもいいでしょう。厳格なエコロジストではなく、もっと気楽にライトに生活を楽しむチルチン人やロハスな人々。…そんなライフスタイルの方々が急増しています。
㈱アップルではそんなロハスな方々を応援中です。
    リフォームアップル自治医大店 大竹喜世彦

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