【日時】平成23年・9月7日(水) |
取材:JMRA日本民家再生協会正会員 ㈱アップル 大竹 清彦
現在風況にもかかわらず、市場価格として地価が高止まりして住宅価格は引き下げられない状況にありまあす。高い地価の下で優れた街並みを作る方法として「隣地境界接して住宅を供給する方法」:ゼロロット開発が戦前の京都、大阪、東京をはじめ世界各都市で取り組まれきあました。1980年代に住宅金融公庫が中心となり進めたタウンハウス開発は、米国の60年代にはじめられたタウンハウス(英国のテラスハウス)に学ぶものでしたが、その後日本全体がバブル経済に飲み込まれ、その発展が阻害された事実をご存知の方は少ないでしょう。つまり、土地を担保に独立戸建て住宅が続々と建てられたのです。話はそれますが、土地と建物を切り離し固定資産税を掛ける国は日本しかありません。本来、建物は土地の加工物として景観に溶け込み景観のモザイクの一つという考えが先進国の考え方です。住宅バブルが崩壊した現在の米国ではどうなっているのでしょうか?消費者の購買力に対応すべく基本的に「戸建て住宅~アタッチドハウス」に軸足が移っています。土地の戸密度利用を戸建て住宅として実現するためには、隣地境界線に接して住宅を建設するデザインが、最も合理的な計画とする方向に向かっています。昨日は、1970年代のバブル前に建設された優れたタウンハウスを、建築後30年の歴史の経過を経た現時点でどのように評価できるのか実物を見ながら検討し、併せて街並みの「優れた和風」住宅地、「レンガ造り」の住宅地も視察してきました。
主催:日本住宅生産性研究会(HICPM)
【①南桜井タウンハウス】 昭和53年・東急不動産開発、2X4工法・2階建て連棟式21棟107戸(敷地面積5800坪)
33年前に建てられた連棟式タウンハウスであるが、建物間の歩道は道路の申請せず私道扱い ポールを外せば緊急時には自動車の進入も可能
街路樹は大きく育ち、各戸の緑も豊富 表の増改築は行えず、窓とドア交換が多い 当時長屋に見せない複雑な屋根型をデザインの工夫と勘違いした例だ
長屋との違いは、屋根裏まで伸ばした遮音目的の界壁ではなく完全に独立した2X4の壁の2.5センチほどの間をエクスパンションでジョイントしているのが連棟
【②ガーデンタウン南桜井】 昭和53年・中央商事・NOVAS建築設計、2X4工法・2階建て連棟式22棟85戸(敷地面積3400坪)
南桜井タウンハウスと同時期に分譲されたタウンハウス形式の2戸1住宅群 玄関前の太い柱風はポストと収納倉庫
資産価値は当時の1/3まで目減りした たった一人の自己破産者の売り出し価格がチラシ等で明示されたことがきっかけで値崩れが始まるという残念な状況
よくできた33年前の2戸1住宅 ①の南桜井タウンハウスと趣が違う
集会所ではちょうど管理組合役員さんと千葉大建築科の学生がミーティング中 連棟アタッチドハウスの研究視察に訪れたそうである
表通りに対して、隣地側は歩行用の小路が配置されている
やはり街路樹、各戸の緑が単調な家屋に彩りを加えている
【③こしがや四季の路】 平成元年・博進(越谷)・莫設計同人(京都)、在来工法・2階建て21戸(敷地面積1900坪)
元は新宿のテキヤ大親分の屋敷の屋敷林を残し宅地開発された街 コンクリートで固められた用水路を住人の手で7年前にビオトープ化
以前は井水を活用していたが生物に適さず、現在は市の協力で水道を循環使用 2010年住まいの街並みコンクールで国道交通大臣賞を獲得
ビオトープ委員会、樹木保存のための署名運動や建築協定の書き替え、建築協定委員会設立、ホームページ立ち上げ等で景観を守り続ける活動展開中である
管理組合理事長の蜜田さんら3名の方々からご案内いただいた
アスファルト舗装を剥がして、石畳み風に改修 町から資材を提供してもらったものであるが補修は住民の手作業で行う
以前は側溝、コンクリートの用水路を住民らのビオトープ委員会で自然景観の石を使いビオトープ化し生き物が生育する水辺となっている
ミズスマシ、カエル、オタマジャクシを発見した
21戸でまとまりある景観を保っているが住人の高齢化が最大の難問 平成元年以来4件の住替えがあったが当初1億前後の価格は現在約1/3に下落
【④ムカサガーデン(さいたま市)】 平成元年~・ロッキー住宅、2X4工法・2階建て70戸(敷地面積3000~4000坪開発中)
今までの日本の住宅は、20年たったら資産価値はゼロ 欧米では100年以上経っている住宅が新築よりも高い価格で取引されている
日本では流行の住宅を建てますが、欧米では融資期間内に資産価値の落ちない仕組みを守る住宅を建築する このところの経済不況で、消費者の購買力が
落ち込んでいるので、新築住宅は売れない 英国では、土地は全て99年の定期借地権が基本であるが、英国の定期借地は、地主が望む住宅を借地人に建設させ
借地期間満了後(100年目)に自分の資産にするため 日本でも最近定期借地権が注目を集めているが、日本の定期借地事業は、地主の節税と住宅会社の住宅販売
のためで、消費者の利益を粗末にしている 日本の定期借地権は50年と決まっていて、50年経つと更地にして返さないといけないのは借地法に定めている標準的な
借地条件では当然である しかし、それ以外の方法も契約自由の原則で、当事者の合意で決めることが出来る 日本でも英国並みの100年定期借地の住宅地があると
は聞いていたが、まさにそれが、さいたま市のムカサガーデン 全70棟のレンガ造りの住宅地で、欧米並みの街並みを実現し販売と同時に即完売(12年前の1期目)
地元以外からの購入希望者が多数で分譲住宅にもかかわらず、住民たちにとってあこがれの地、ステータスや誇りを持つ住宅地となっている
煉瓦造の構造
視察ツアー主催:日本住宅生産性研究会(HICPM)
【パッシブソーラー・リフォーム】
弊社【パッシブ・ソーラー暖房
【エコロジーの先端、文化を取り戻す・ビンテージリフォーム】
建築基準法で規定されている現在の【在来工法】は柱や桁梁の接合部に金具補強して、面材や筋交いなどの耐力壁で地震等に抵抗します。これに対し古民家などの【伝統的工法】では、柱や桁梁の接合部は木組みのみで金具の補強はありません。代わりに【伝統的工法】では土塗り壁、竹小舞、差し鴨居、貫などが主要な耐力要素となります。【伝統工法】では土台を使わず1階の柱を直接礎石に立てる【石場建て仕様】が用いられることがあります。特に西日本以西では夏場の床下通気やシロアリ対策から【石場建て仕様】が採用された民家が少なくありません。 【限界耐力計算】という方法で確認申請の適合判定が通れば、こうした【伝統木造軸組み住宅】も新築できる。しかし、この申請・審査には大変な手間がかかり、その結果、現在新築の実績は年間数棟にすぎないのが実情です。 わたしたちは、この【伝統的工法】で使わてきた柱や梁といった構造材の再構築としてリユースする道筋をつけ、消えゆく貴重な資源をリモデリングというで使い継いでまいります。 古いという理由だけで何もせずただ壊して捨てたらゴミになるだけ。しかし、リモデリングで再使用したらあと何年再活用できるでしょうか。 ビンテージ・リフォームは【伝統的工法で使われてきた古材】を大切に、そのままの形で出来るだけ長く使い、捨てない文化を取り戻す究極のエコロジカルなコンセプト・リフォームです。
【古材を活用した弊社アップルのリモデリング例】
―福島・田島町/I邸・古民家解体(2004年) ⇒下野市/T邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2009年)―
【古材を活用したリモデリング例】
―栃木・藤岡町/A邸・古民家解体(2007年) ⇒小山市/S邸・古材梁を再活用したリモデルへ(2008年)―
静かな農村地帯に昔懐かしい風情を残す「青木邸」は江戸時代には、この土地で栄えていた大規模な農家。現在、旧道沿いに立つこの家の母屋は約100年前のもの。昔は街道の両脇に茅葺屋根の家々が立ち並ぶ日本の原風景を残す土地でもあった。最近はテレビの番組でも多く登場するようになった古民家とはいえ、子供の頃には「暗くて寒くて怖い」場所と思い育ったそうです。お母さんとの2世帯住宅を建てる決意をされたものの、祖先が使い残してくれたこの母屋をただ解体することに寂しさを感じていらした青木さんご夫婦。「まだ、使えるものなら是非、再生に活用て使い続けて下さい」と。まさに「200年住宅」の真髄ではないでしょうか?昔から、捨てずに大切に使い続けてきた構造材。本来、日本では当たり前に行われてきた建築文化です。もちろん、何もせず、200年耐用できるものなど何処にもありません。定期的に修理修繕し、次代を越え愛着を持ちながらメンテナンスし熟成されてきたのです。大切に使い住み続ける社会の実現。これこそがわたしたちの目指す「200年住宅」の意味するところではないでしょうか?青木さん、わたしたちアップルで古材として立派にリモデリングで大切に活用させていただきます。
Before(青木邸)
当時の貫工法(在来工法の原型)や竹小舞の土壁。地場の欅と松の曲がり梁が素晴らしい。
After(再生リモデル完成しました)
増改築前(外観) (和室) (廊下) 改装中:古材をクレーンで搬入
改装中:青木さんの地松の古材梁を2本活用、ドイツ・リボス自然素材塗料で綺麗に蘇る。
改築後(廊下)杉の古材柱を廊下でも活用、手洗いをしつらえ、トイレも増設。内装はスイス本漆喰左官&ドイツ・ウッドチップクロス張り
改築後(寝室)
改築後(和室:1) 内装:ドイツ・ウッドチップクロス (和室:2)内装:愛知・桃山土壁(弁柄壁)
【その他、古材を活用したリモデリング例】 Before⇒After
よくある普通の和室 「古材の柱」で作った「自在ガキ」をぶら下げ、囲炉裏風の設えに。
「古材梁」を4本使っています。
古民家を見て、その素晴らしさに感動する人は多い。その佇まいはわたしたちの五感に訴えるものは非常に多いが、本当の素晴らしさと意味するところは、自然のシステムが無駄なく利用されている先人たちの知恵に気づく点です。民家に蓄積された仕掛け、例えば風を防ぐ工夫、逆に風を導く工夫、高湿から室内を守る工夫、暗さを補う天窓の工夫といった仕掛けは、わたしたちのスローライフな暮らし方を見直すことを教えてくれます。これは過去への回帰を意味するのでなく、未来の住宅のために、伝統技術を見直し、継承し、新しい知恵を加えるということにつながって行きます。 民家の様々な歴史、文化的な背景を知ることは、ものの真の価値を知ることも出来ます。 裏付けのある知識を持つことで「先人たちの知恵」のルーツを知ることが出来ます。 例えば、家族団らんの食事は囲炉裏を囲んで・・・と思われていますが実は、『囲炉裏』は養蚕のための暖房であり、生活に余裕はなく、封建的なスタイルで食事は各自お膳で取っていた・・・。 しかし、現在はそのような封建的な風習はありませんから、『囲炉裏』は家族で仲良くみんで囲めばいい。 このように、民家を知ることは、わたしたちの先人たちの、地域にあった住まい方を正しく知り、その知恵を活用し、さらに長い年月をかけ熟成させていくものではないでしょうか。
江戸時代から、木材を再利用するのは当り前の時代でした。これがいつしか捨てる文化に変わってしまった。究極のエコロジーは、そのままの形で出来るだけ長く使うこと。ビンテージリフォームは、そんな私達の考えが詰まったコンセプト・リフォームです!リフォームアップルで強力に推進中!
古材を多用するビンテージリフォームは、高い志と古来の伝統工法の豊富な見識を習得した古材施工技術士に是非一度ご相談下さい。
日本民家再生リサイクル協会正会員 ㈱アップル・リフォームアップル自治医大店 大竹喜世彦
【茅葺屋根の古民家】
八郷町には60余棟の『茅葺の里』があります。毎年年末に、八郷町の地元の【茅葺屋根保存会】の方々と、とわたしたち【民家再生リサイクル協会】茅刈り隊】、筑波大学生らのボランティアを含むメンバー(200名近く)は【つくば学園都市】にある高分子研究センターでヨシ刈りを行なっています。八郷の茅葺屋根の葺替えに使うための【ヨシ刈り】です。
そして、毎年この4月初旬に、民家再生リサイクル協会では、八郷町、地元【茅葺屋根保存会】の方々と、茅葺古民家で交流会を行い、早春の一日を美しい里山と日本の原風景が残る茅葺集落で過ごしております。戦後のヨーロッパでも、日本と同じように茅葺屋根は激減しましたが、現在は高級住宅地などのステータスシンボルとして使われ人気が高いそうです。・・・
さて、日本の茅葺について。かつての日本の茅葺文化は農村生活と深く結びつき社会活動とのかかわりが欠かせませんでした。筑波一帯は、江戸城の鬼門を守る門前町として栄え、特に筑波山麓では江戸末期からは専門職として【茅葺職人】が成り立ち、地方ごとに特異な形の技術が発達しながら、地域社会と強い関わりを持ってきました。村人は【ユイ・結】を組織し、茅葺を手伝い、古くなった屋根の改修で出た【古茅】は大切にリサイクルしまた、重要な肥料として農地にも還元され、その【マテリアル】自体も自己完結型で地域循環していました。
【古民家再生の環境的側面】
日本の産業廃棄物のうち約20%を建設廃棄物が占め、民生部門のエネルギーのうち約45%を住宅が占めると言われる。社会全体の環境負荷の低減を図るには、この住宅建築をいかに環境配慮型に変えていくかが重要な課題です。住宅建材のリサイクル率向上や生活エネルギー使用量減少はどうすれば可能なのか?わたしたちは伝統的な素材、工法に、関わる最先端の知識に触れ、エコロジカルな視点からも民家再生に注力しています。
毎年建っている戸建住宅は約数十万戸で、最新の技術、性能を持ちます。しかし、立て替えればで、産業廃棄物と大量のゴミを発生させます。そして、もうすでに建ってしまっている既存住宅1500万戸はどうすればいいのでしょうか?わたしたちはリモデル、リフォーム(欧米ではリフォームというと歯の矯正の意味も含まれ、一般的にはリモデリング、ホームインプルーブメントと言われています。)を通じて、ゴミ問題も含むエネルギーなどの環境負荷低減をはかってまいります。とりわけ大きな機械装置(製造エネルギーが多大で廃棄時にリサイクルできないものを主に言います)の導入でアクティブな「省エネ」を図る方法よりも、より自然エネルギーをそのままの形で活用するパッシブな「省エネ」デザイン、設計を心がけていこうと考えます。
『ふるさと』というところは、我慢や不自由の多いところですが、その中で人は一生懸命に美的な誇りを探し美しく幸福に生きようとしています。その力こそ今の時代に必要だと『八郷』は、私達に教えようとしています。『町守り』は『町興し』に名を借りた開発行為とは異質のものでしょう。
『町守り』とは文化をその地で、地道に頑なに守り続けること。そこでは、簡単には壊さず大切に長く使う知恵が凝縮されています。作っては壊す、日本の現状の見直しは急務でしょう。
NPO日本民家再生リサイクル協会正会員(株)アップル 大竹喜世彦
===大切なものを壊さず、使い継ぎ再生させる。福島県会津から古材を入荷しました。=== |
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