◎部分的ハウツーにとらわれない空間
日本の住宅は執拗なまでLDKにとらわれているように思います。リビングにはソファが置かれたりしますが、靴脱ぎの習慣を持つ日本ではソファは床座したときの背もたれか、誰かが寝転ぶベット化としています。
リビングは家族団欒のための空間ですが、家族が集まるための誘導性に欠けていますし、団欒のためにわざわざ家族が集まろうとはしません。リビングは意図したものと違う使われ方がなされているのです。団欒の場の役割をダイニングキッチンに移せばいいのです。食事をするために家族は自然に集まります。
全米NO1といわれるリフォーム会社「ホームデポ」や「ロウズ」のキッチンブースに行くと、知名度の高いデザインディレクター「ライネット・デニングス」やカリスマ主婦的存在の「マーサ・スチュアート」「メリッサ・バートソン」といった人気デザイナーなどの提案を目にすることができます。
やはり商業ベースを感じるものの、それらは、キッチンスペシャリストを介して紹介され、日本では感じることのできない独特の雰囲気につつまれます。アメリカ映画でよく目にする「家族の団欒」や「キッチンでつくり、みんなで食べる」といったことが重要視され「生活の楽しさ」が伝わってきます。さすがリフォーム先進国といわれるゆえんを肌で感じることができます。日本のショールームで説明を受ける「収納」「汚れにくい」「多機能」といった商品そのもののでは語れない魅力を感じます。
◎リフォームで変わる食生活
最近では、昔と違い食事がファミレス・コンビニ・お弁当屋さんなどの「中食」利用が増えていますが、料理・食事の便利さと引き換えに家族の繋がりが希薄になってきた裏返しのような気がしてなりません。
家でつくる料理と外で食べる料理とではやはり違いがあります。キッチンを新しくしたり、リフォームするとつくるのが楽しくなって食事の内容がガラッと変わることもいっぱいあります。ある方は、リフォームしたあと、体脂肪がグッと下がったと言うのです。それは、キッチンが使いやすくなったことと関係しているのですね。使いにくいキッチンだと「こんな料理つくりたいけど、面倒だから家族を応援するキッチン設計買ってこようかしら」となったり。そうするとつくるものが限られてきてしまいます。
特に今は「おしゃれなキッチン」などと言われると、汚しちゃダメということで油を使う料理などしない人も多い。キッチンによって、食事内容もプラスにもマイナスにも変わるのです。
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